誰がディレクション能力を持っているか見極める法
情報量が多いのは、分析や提案の元となった数字を文書に証拠として残しておくという意味もあります。ですから、表やグラフがたくさんあるレポートは信頼性が高いといえます。ただ情報をしっかりまとめただけのレポートでは完璧なレポートとは言えません。そのレポートを分析、考察して、今後の施策を提示出来ていなければ、意味がありません。
なおグーグルアナリティクスなどを使ったアクセス解析の結果については、レポートを出すのに別途費用を請求する会社があります。といっても結局は元の画面から数字を写しただけで、そこから何を読み取るかという肝心の解析が抜けていたりします。
数字を羅列しただけのものは、レポートとは言えません。見るべきポイントを抽出して次の施策の提案をすることが、ウェブマーケティングの会社がすべき仕事です。数字だけしか載っていないレポートで料金を請求されたら、分析もしないでなぜ金を取るのかと注文を付けましょう。
レポートは月次で送られてくるのが一般的ですが、広告予算が100万円を超えたら1週間ごとか、あるいは毎日の動きを報告してもらうことを検討してもいいと私は思います。前日の結果を集計したエクセルデータと簡単な分析をデイリーでメールで送ってもらえばいいのです。
少額の予算でそこまで求めるのは酷ですが、毎月100万円単位の広告費を投じているのなら、手厚く面倒を見るようお願いしてもいいでしょう。
ウェブディレクターとしての資質を見極め、ダメな会社を淘汰する方法
最後に、発注している会社同士が鉢合わせする会議を意図的に設けて、誰がディレクションの能力を持っているかを見極める方法を紹介しておきます。
これまでも述べてきたように、広告(プロモーション)と制作(クリエイティブ)はもともと切っても切れない関係にあります。ですから両方ともなるべく同じところに依頼するのが、ウェブマーケティングを成功させる秘訣です。
しかしながら、すでにウェブマーケティングを始めている会社の多くは、広告の運用は広告代理店に任せて、クリエイティブは制作会社が手がけている、というように発注先が分かれているのではないでしょうか。しかもSEOはまた別の会社がやっていて、リスティング広告もディスプレイネットワーク広告も別々で、さらにそこにコンサルティング会社も関わってきて……となると、クライアントがウェブマーケティングの全体をまとめていくのは至難の業です。
こんな状態になると、往々にして方向性がずれたまま進んでうまくいかなくなり、発注先の会社が別のところに責任を押しつけ始めたりします。
そこで問題がこじれる前に、発注先すべてに集まってもらいます。「成果が出ない」「どのような次の手を打てばいいか分からない」など、その時点で抱えている悩みごとを相談するという名目で、1回打ち合わせをしたいと各社に呼びかけます。
通常は個別に打ち合わせをするので、ウェブマーケティングに関わっているメンバーが一堂に会する機会は、なかなかありません。もしその場をうまく仕切れる人物が現れれば、ウェブディレクターとして全体のまとめ役になってもらえばよいのです。しかし誰からもよい提案がなく、仕切る人も出てこなければ、リーダーとなる人物を別途探さないとまず成果を上げることは難しいでしょう。
もしかすると、その場でけなし合いが始まるかもしれませんが、それでもかまいません。どのような展開になったにしても、クライアントとしては冷静に観察して、淘汰した方がいい会社がどこなのかを見極めましょう。
そういう場でちゃんと話ができる自信がない会社は、集まるから一度来てほしいと声をかけた時点で、「それ、しないとだめですか」と逃げ腰になります。するとその時点で、ここはダメだなとチェックを入れることもできます。
後藤 晴伸
後藤ブランド 社長
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