米移住で痛感「生き残るには…」有名医師のスゴい情報取集術

ボストン在住の大西睦子医師。何度も一流誌に論文を発表し、各メディアに連載を持つなど方々で活躍している。転機となったのはアメリカ留学だった。しかし渡米当初は英語が流暢というわけでなく、交流関係が築けなかったという。八方塞がりだった筆者はいかにして成功を掴んだのか? その秘密である「情報収集」と「伝え方」について、実体験をもとに紹介する。※「医師×お金」の総特集。GGO For Doctorはコチラ

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アメリカ社会で生きるには「自分の意見や立場」が必須

14年前、私は研究のため米国のボストンに移住しました。そのとき、真っ先に肌で感じたのは「ここで生き残るには、情報収集が不可欠」ということです。

 

多くの米国人は自分の意見や立場がはっきりとしていて、つねに裏付けとなる情報を集めています。

 

自分の意見や立場がない人は、いてもいなくても同じような存在になってしまいます。自分の意見を共有しなければ、ネットワークを広げるどころか友達を作ることすらできません。就職活動においても、面接で自分の考えを伝えられなければ、職につけない可能性が高まります。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

移住して早々、「どうすれば上手く情報を集めて、自分の考えを伝えられるようになれるのか?」という試行錯誤の日々が始まりました。

活発な議論で習得…情報の処理・分析に役立つ「思考」

まず力となってくれたのはハーバード大学の環境と教育です。

 

ハーバード大学で研究を始めたとき、私は指導教授に与えられた研究テーマを忠実に実験してデータを収集し、毎週、大量の実験データを教授に報告していました。すると、ある日教授から「ムツコは日夜実験を頑張ってたくさんのデータを集めているけど、いつ物事を考えるの?」と聞かれたのです。

 

たしかに、私はロボットのように作業を繰り返してデータを収集するだけで、情報を取り入れて結果を分析することには時間をかけていませんでした。

 

そこで、他の研究者が何を考えているか知るために、論文の「アブストラクト」ではなく、「考察」の部分をじっくり読むことにしました。わからない部分を教授に質問すると「よい質問だ!」と褒められ、理解するまで何度も説明してくれました。

 

その結果、研究の知識が身につき、教授と議論ができるようになりました。他の研究者とも活発に研究の議論を交わすようになりました。そして議論を繰り返すなかで身についた力が「批判的思考」です。

 

ちなみにこの「批判的思考」のスキルは、米国では通常、高校の初めに教えられます。批判的思考は、情報を効果的に処理・分析するために重要で、優れた研究者になるためには必須のスキルとみなされています。

積極的・批判的なフィードバックで「伝える力」が上達

その後、「動物実験により、高リン食が老化を招く」という研究成果が実り、論文報告が叶いました。大学から奨学金を得ることができ、さらにはプレゼンテーションのクラスを無料で受けられることとなったのです。

 

クラスのメンバーには、ハーバード大学に留学している、さまざまな分野を専攻する研究者が集まっていました。

 

クラスでは毎週、自分の研究を発表します。私が苦労したのは、専門の異なる仲間にも理解できるように説明することでした。

 

発表後は毎回、同僚と講師からフィードバックを受けます。初めの発表では、同僚から「実験の意味がまったくわからない。本当にその研究に興味があるの?」などと厳しいコメントをもらいました。

 

しかしその後、講師の指導のもと「専門知識のない一般の人に対し、ニュースは科学情報をどのように伝えるか」を学び、発表のスタイルを変えました。最後の発表では「ネズミの高リン食」のスライドを「身近な加工食品」へと変更することで、同僚の注目を浴びることができました。

 

同僚からは「ボストンのおすすめのヘルシーな寿司屋さん教えて!」と、講師からは「あなたは見た目が健康そのものですから、このテーマはぴったりですね」というコメントをもらいました。

 

このように、ポジティブで批判的なフィードバックを受けることは、パフォーマンスを向上させるための強力な方法なのです。

 

その後も、科学情報を一般の人に伝える方法を学ぶため、学術論文だけではなく、新聞やテレビのニュースを確認するようになりました。米国の科学ニュースは充実していて、論文の著者以外にも、様々な専門家の賛否両論の意見を知ることができます。

 

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星槎グループ医療・教育未来創生研究所 ボストン支部 研究員 内科医師、医学博士

米国ボストン在住。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年から13年まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員。

【主な著書】
『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)
『「カロリーゼロ」はかえって太る!』(講談社+α新書)
『健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)

著者紹介

医療と社会の間に生じる諸問題をガバナンスという視点から研究し、その成果を社会に発信していく特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」による学会。「官でない公」を体現する次世代の研究者の育成を目的とし、全国の医療従事者が会員として名を連ねている。

著者紹介

連載医療従事者が本音で語る「日本社会」の現状~GGO For Doctor

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