近年注目されている「時間栄養学」とは?
食事指導の中心は、適正なエネルギー量と栄養バランスをいかに考えるかが基本ですが、そこに、食事の時刻や食べるスピード、食べる順序など「時間」の概念を取り入れた「時間栄養学」という考え方が近年注目されています。
具体的な例としては、「食物繊維などを食べたあとに糖質を摂ると、糖の吸収が緩やかになる」などは、雑誌やネットなどで見たことがあるという人もいるかもしれません。実際に、食物繊維に限らず、肉や魚などのタンパク質を先に食べても血糖の上昇が抑えられることが知られています。
このような例としてはほかにも、朝食の摂取の有無と肥満・メタボリックシンドロームの関係も指摘されており、朝食を摂らない習慣が、肥満やメタボの原因となるとされています。
その理由に体内時計の異常によるエネルギー消費の低下が原因であるという意見もありますが、ほかの朝食に関連する研究では、朝食を摂ることで、朝食後に生体内でGLP-1が分泌されるため、昼食時のインスリン分泌がスムーズになり、その日の血糖上昇が抑制されるという報告もあります。
つまり、朝食を摂るということは、自身の腸からのGLP-1分泌を高めることにつながるということです。こういった報告からも、ダイエットをするのであれば、むしろ朝食を抜かないほうが望ましいと言えるでしょう。
また、GLP-1は小腸から分泌されるホルモンであり、腸内環境が悪いと、その分泌も低下してしまう恐れがあります。逆に「腸内環境を整える」ことは、GLP-1の分泌を高めることにつながると考えられるため、食物繊維をしっかり摂ることも、GLP-1の分泌を高める重要な要素です。
また、脂質、特に青魚などに含まれるEPAなどの多価不飽和脂肪酸は、GLP-1の分泌を促すことが知られていますが、糖尿病患者を対象とした研究では、米を食べる前に、肉か魚を食べるかによって、GLP-1の分泌量に差が出たという報告もあります。
その報告によると、肉も魚も、米を食べる前に摂取することで血糖上昇が抑えられるのですが、魚を食べたほうが、血中のGLP-1の濃度が優位に高値となったことが示されています。
こういった研究や文献からも、毎日の食生活によって、あなた自身のGLP-1分泌を高めることが可能なのです。
平山 尚
医療法人奏仁会 理事長
大阪梅田紳士クリニック 院長
長谷田 文孝
大阪梅田健美クリニック 院長
南星クリニック 副院長
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