目指すのは「オプティマルヘルス=最適な健康状態」
ダイエットに取り組む前に、皆さんに絶対に知っておいてもらいたい非常に大切なお話をします。それは、「病気と健康」の概念についてです。
一般的には、病気と健康は対極にある、と考えられがちですが、実際にはそうとは限りません。
「病気ではないから“健康”」であると言われた人のなかにも、体力気力とも充実して、まったく問題のない人もいれば、いつも疲れていて元気がない、あるいは、ここが痛い、あそこが調子悪いなどの訴えがあるものの病院で検査してみても、特に異常がないと判断される人も含まれたりします。
こうしたことを踏まえると、病気と健康は、対立するものではなく、連続した健康状態の段階・レベルで考える必要が出てきます。
例えば、この上ない最高の健康状態を「健康Lv.10」とすると、なんとなく不調を感じている人は「健康Lv.6」、明らかに不調があり、病気と診断された場合は「健康Lv.1」など。
そう考えると、「病気」という状態も、ただ健康レベルが低いだけで、ある程度の健康は存在することになります。逆に、「病気でない状態」が必ずしも「本当に健康な状態」と一致するわけでないということです。
このような観点から「病気と健康」を考えてみると、私たちは皆、例外なく、生きている限り、健康レベルのより高い状態を目指し、維持するのが望ましいと言えるでしょう。
なお、理想の健康状態は、個人個人で異なりますが、その目指すべき最適な健康状態は「オプティマルヘルス」と呼ばれることがあります。「オプティマル」とは、「最適な、最善の」という意味です。
個々の心身の健康レベルは「食」に大きく左右される
個々の健康レベルを左右するのは、遺伝要因や環境要因もあるでしょう。ですが、心身の機能を物理的に支えている基盤は、その材料となる「栄養素」なのです。
骨や筋肉、皮膚や毛髪、あなたの身体は、タンパク質やミネラルから作られ、これらはすべて摂取した栄養素から成り立ちます。
心はどうなの?と思うかもしれません。一見、スピリチュアルな概念で「心」をとらえると、栄養とはまったく関係ないように思われるかもしれません。
ですが、心は、医学的には「脳の働きの一部」であり、神経伝達物質やアドレナリンやドーパミンといった脳内ホルモンの複雑な相互作用によって、感情や情動が生まれると考えられています。
この神経伝達物質や脳内ホルモンも、分子レベルで見てみると、ビタミンやミネラルを介して代謝され生成されるタンパク質であったりします。
つまり、あなたの「ココロ」も「カラダ」も、自身が摂取した栄養素が身体に入り、どのように機能するかに大きな影響を受けており、言い換えれば、その人の心身の健康レベルは、「食」によって大きく左右されるということです。
「わざわざダイエットをする必要がない状態」を目指す
人として生きていく限り、恒常的に「オプティマルヘルス」(その人にとっての最適な健康状態)を目指すのが望ましいです。ダイエットをしようがしまいが、それは変わりません。
つまり、ダイエットをする人にとってのオプティマルヘルスとは、「ダイエットをわざわざする必要がない、健全な状態を目指し、それを維持すること」ということでもあります。
筆者のクリニックでは、「今までに数々のダイエットに失敗した」と、体調を崩して相談に来られた患者さんがあとを絶ちません。そして、その多くのケースが、「新型栄養失調」と呼ばれるエネルギー過多の栄養不足が原因であったりします。
そういった背景から、私たちは、医学的に自己管理をサポートしながら、「ダイエットをわざわざする必要がない、健全な状態を目指し、それを維持すること」を目指す「オプティマルダイエット」という新しい概念を提唱しています。
私たち医療者が介入するダイエットは、「メディカルダイエット」という位置付けになるかと思われますが、ただ単に薬や医療機器を使って痩せさせるだけでは、逆にリスクが生じかねません。
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