「糖質制限ダイエット」は理にかなっているが…
三大栄養素の特徴を比較してみると、タンパク質と脂質は、エネルギー源として以外にも、生体にとっては重要不可欠な働きがあるため、安易に引き算してしまうと、身体機能に支障を来してしまう可能性があります。
一方、糖質は、迅速なエネルギー源とその貯蔵に特化した栄養素です。つまり、「引き算」を考えるのであれば、まずは糖質を中心に考えれば最も分かりやすい、ということにもなります。
なお、糖質を摂取すると、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンは血中のブドウ糖を細胞内に取り込む働きがありますので、たくさんの糖質を摂れば、その分多くのブドウ糖が、脂肪細胞へと送り込まれることになります。そうして、脂肪細胞に送られたブドウ糖は、ここで中性脂肪となって私たちの身体に蓄えられてしまうのです。
要するに、インスリンは血中の糖分を脂肪に変えて貯め込む貯蓄用のホルモンなのです。そして、このインスリンの作用によっていったん貯蓄用の脂肪に変換されてしまったブドウ糖は、次に必要なエネルギー源として消費されるまでには相当な時間がかかってしまいます。
というのも、エネルギーに変換しやすいブドウ糖がほかにもたくさん存在している状態であれば、まずはそちらのほうから優先的にエネルギーとして消費されてしまうので、貯蓄用に回された脂肪は、なかなか消費されないままに身体にどんどん溜まっていってしまうのです。
近年、「糖質制限ダイエット」が広く知られるようになってきましたが、「引き算」の面からも、糖質が脂肪に変わる過程を見ても、この糖質を制限するという考え方そのものは、なかなか理にかなっていると言えます。
ですが、糖質中毒気味の人が急に厳格な糖質制限を始めても、調子を崩したり、挫折したりします。そこで私たちは、血糖モニタリングなどを用いながら、日々の食事と血糖値の変化を意識していただき、糖質摂取量を患者さん自身が少しずつ調整できるよう指導していきます。
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