病院経営者の悩みは増える一方です。地域医療構想など医療行政の長期的変化、診療報酬改定、医療技術の高度化への対応、足元での収益力低下、厳しさを増す人材不足・採用難、経営者自身の高齢化、そして、後継不在。ここでは病院M&Aを検討するうえで知っておきたいメリット・デメリットについて、譲渡側・譲受側の双方から解説します。※本連載は、矢野好臣氏、余語光氏の共著『病院M&A』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

病院M&Aを検討するうえで知っておくべきポイント

M&Aは経営課題を解決するための一つの手段であり、メリットもあればデメリットもあります。前回の記事『病院の経営課題を一挙解決…「病院M&A」が効果的な4ケース』(関連記事参照)で挙げたような背景がある場合には、多くのケースで病院M&Aが有効な解決策になりますが、そうではないこともあります。ここでは、譲渡側、譲受側双方にとっての、M&Aのメリットと注意点を確認しておきます。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

病院の継続には、譲受側の「経営能力」が肝心

●医療の継続

 

病院経営にとって、最も大きな課題であり、またM&Aを行う意味があるのは医療が継続できる点でしょう。病院が継続できなければ、既存の患者さんや地域住民に対して大きな不安と損失を与えますが、M&Aが成功すればその心配がなくなります。また、経営主体が替わって収益性が向上した場合には、最新の医療機器が導入されたり医療サービスの質が向上したりする可能性があり、その面でも患者さんにメリットをもたらすことが考えられます。

 

一方、譲受側から見ると、すでに患者さんがついている病院を譲受ければ一から集患をする必要がなく、集患コストが少なくて済み、迅速な収益化が可能となるメリットがあります。

 

ただし、譲受側の病院経営能力が低い場合は、医療サービスの質が低下してしまう可能性もあるので、M&Aの際にはその見極めが必要です。

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