幻冬舎ゴールドライフオンラインの人気エッセイ『嫁姑奮戦記』。病院を騒がせる姑と嫁のやり場のない戦い。介護する側、される側。それぞれの思いを連載でお届けします。

さてはと思い「また、何かやらかしたのでしょうか」

そうこうしているうちに、勤め帰りの夫が様子を見に来る。トイレの戸の開け方がなかなか覚えられないので何度もやらせたり、ナースコールの使い方を再度教えたりして、後ろ髪引かれる思いで帰る。結局、心配で眠れぬ夜を明かした。

 

病院から何の連絡もないことから、無事だったのだと思い朝一番に詰所を訪ねる。「どうやら無事だったようですね」と声をかけると、どうも詰所の様子がおかしい。お互い顔を見合わせたりしている。

 

さてはと思い「また、何かやらかしたのでしょうか」と不安な気持ちで尋ねる。「ちょっとお待ちください」と詰所の外で待たされた後、実は昨晩二度もベッドから降りて床に寝ており、その都度ベッドに寝かせたが再び下に寝ていたので、ベッドに寝かせようと抱えたら痛がり、転落して骨折した可能性が大きいとのことであった。

 

私の不安は残念ながら的中したわけで、これから始まる悪夢の幕開けとなった。

次ページ慌しい中で彼女の元気な姿はむしろ異様であった。
嫁姑奮戦記

嫁姑奮戦記

大野 公子

幻冬舎メディアコンサルティング

入院早々骨折、幻覚幻聴、物忘れ……病院を騒がせる姑と嫁のやり場のない戦い。 介護する側、される側、双方には今日に至るまでの歴史がある。 血縁だけでは語れない愛がそこにはあった。 嫁が綴った過去の日記をもとに、「…

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