夕方になると妄想は一層きつくなる。
骨折しているから無理と言っても聞いていないのか、理解出来ないのか、忘れるのか三分ともたない。
夕方になると妄想は一層きつくなる。夫が勤めの帰り立ち寄ると、お帰りと陽気に言う。夫に状態を話す。夫は仕事が忙しいうえにややこしい問題を抱え、最近気分が落ち込み気味だ。この事態が追い討ちをかけなければよいが。
姑一人が陽気に勝手なことを喋り、揚句には天井にパンが並んでいるなど言い出す。
またか。夫も私も、八年前の病院脱走騒動を思い出し、出るはため息ばかり。胃潰瘍でT病院に入院したのだが、そのときの錯乱はすさまじかった。
本記事は幻冬舎ゴールドライフオンライン掲載の『嫁姑奮戦記』を再編集したものです。