慌しい中で彼女の元気な姿はむしろ異様であった。
病室に行くと極めて快活で元気な姑の姿があった。痛み止めでも投与してあるのだろうか、周囲の重く慌しい雰囲気の中で彼女の元気な姿はむしろ異様であった。私を見るなり、「公ちゃん、脚が動けへんけどどうしたんやろ」と言う。
「あれ、おばあちゃん覚えてへんの? 昨日の晩ベッドから落ちて脚折ったらしいんよ」と言うと「そんなはずあらへん。うち布団に寝てたで」と言う。
続いて、「あんたに起こしてもらおう思うのにおらへんがな。一体どこに行ってたん」と言う。どうやらここを家だと思っているらしい。
ヘルペスにおかされ紫色にはれあがった顔は、おかしな言動とあいまって益々異様に見える。顔やまぶたが気持ち悪いのだろう、絶えず触ろうとし、その都度駄目と怒鳴る始末だ。
すると今度は布団をはねのけ脚を動かそうと必死だ。手すりを持っては起き上がりギブスを外そうとする。
よくまあこう動くものだ。こちらはショックと疲れでぐったりしているのにと思うと、腹が立ってくる。