そんな米ドル安・円高トレンドは、NYダウなど米国株の上昇トレンドと一定の逆相関関係が続いてきました(図表3参照)。
これは米ドル/円に限ったことでなく、ユーロ/米ドルとNYダウのグラフを重ねても、やはり高い相関関係が続いてきたことがわかります(図表4参照)。
要するに、3月の「コロナ・ショック」が一段落した後は、米国株高と米ドル安が高い相関関係で展開してきたわけです。
この関係がこの先も続くなら、年末年始の米ドル/円のレンジ・ブレークの方向は、株高なら米ドル安・円高方向、そして株安なら米ドル高・円安方向と考えるのが基本になるのではないでしょうか。
合意なき離脱回避…英ポンド反発とポジションの関係
英国とEUが貿易協定で合意し、いわゆる「合意なき離脱」は回避されることとなりました。これを受け、英ポンドはどれだけ上がるかについても考えてみたいと思います。
英ポンドが、2016年6月のBrexit、いわゆる国民投票でのEU離脱賛成多数といったショッキングな出来事を受けて暴落した以降、当面の底を打ち、循環的な反発局面となったのはおもに2016年10月から、そして2019年8月からでした(図表5参照)。
この2回に共通したのは、CFTC統計の投機筋のポジションが、記録的な英ポンド「売られ過ぎ」になっていたということです(図表6参照)。
以上を参考にすると、Brexitショック以降の英ポンド反発局面はBrexitリスクを懸念しながら売られ過ぎたものの、リスクの限界が確認されると買い戻されたのでしょう。
足元の英ポンドは、CFTC統計の投機筋のポジションなどで見る限り決して「売られ過ぎ」ではありません。これまで見てきたように、循環的な英ポンド反発が、「売られ過ぎ」反動と一致していたということでは、足元で必ずしも「売られ過ぎ」の懸念のない中での英ポンド反発は限られるのではないでしょうか。
そもそも、ポジション推移を見る限り、「合意なき離脱」を警戒し英ポンド売りが拡大していた感じも見受けられませんでした。英国とEUの交渉を横目に、「合意なき離脱」回避は、基本的に織り込み済みだった可能性が高いといえるでしょう。そうであれば、「合意なき離脱」回避が確認されたことで、新たに英ポンドが買われる可能性は限られるのではないでしょうか。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長
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