今回は、ペット供養を扱う場合の税務について見ています。※本連載は、税理士・公認会計士であり、宗教法人からの税務相談に数多く対応している山下勝弘氏の監修書籍、『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』(すばる舎リンケージ)の中から一部を抜粋し、宗教法人の収益事業にまつわる課税について解説します。

ペットの供養や祈祷を行う宗教法人は増えているが・・・

最近のペットブームを受け、ペットの供養や祈祷を行なうお寺や神社が増えています。当寺でもペットの供養や納骨を実施する方向で検討しており、その際にはWEBサイト上で供養料を掲載しようかと考えております。

 

こうした取り組みで何か税務上、注意すべきことはあるでしょうか。

読経・供養以外は収益事業扱い、価格表示にも注意

いまやお寺や神社など宗教法人がWEBサイトを設けるのは当り前で、なかには供養など各種の費用を明記しているところもあります。

 

WEBサイトをつくること自体は宗教行為の一環であり、とくに注意すべき点はありません。

 

ご質問のケースで問題になりそうなのは、ペットの供養そのものが宗教行為といえるかどうか、です。ペットとはいえ家族同然ですから、一般の感覚では宗教行為でしょうが、法律的には少し異なる判断がなされています。

 

たとえばペット用の霊園の運営、墓石の販売、遺骸の運搬などは宗教行為とはみなされません。霊園は倉庫業、墓石販売は物品販売業、遺骸運搬は運送業とされ、それによって収益がある場合は課税義務が生じます。

 

ご質問にもある供養、それと読経に関しては、費用を明示しているかどうかで扱いが異なります。

 

判例によると「料金表を掲げ、それによって対価を得ている場合」には「対価性のある商行為」とみなされます。一方、金額の定めがない場合は宗教行為となり、課税対象にはなりません。

 

ペット事業のスタートに当って、WEBサイト上で料金表も掲載することを考えられておられるようですが、金額に関しては「応相談」という形であいまいにしておくといいでしょう。あるいは「布施の目安」のようなかたちで示すようにしてください。

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    本連載は、2016年2月24日刊行の書籍『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    神社・仏閣…… すべての宗教法人のための 収益UP&節税対策 パーフェクト・マニュアル

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    山下 勝弘 監修

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