今回は、檀信徒を対象とした団体旅行実施が課税対象になるかどうかを見ていきます。※本連載は、税理士・公認会計士であり、宗教法人からの税務相談に数多く対応している山下勝弘氏の監修書籍、『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』(すばる舎リンケージ)の中から一部を抜粋し、宗教法人の収益事業にまつわる課税について解説します。

宗教法人の収益事業に旅行業は見当たらないが・・・

知人の旅行会社経営者から「檀信徒を対象に本山への団体旅行を企画してはどうか」とすすめられました。実施は半年に1回の予定です。それほど大きな収益は見込んでおらず、場合によっては「赤字も覚悟」なのですが、布教活動の一環ともなるので前向きに検討しています。

 

ここで気になるのが、こうした取組みが収益事業となるかどうかです。34業種のなかに旅行業は見当たらないのですが、いかがでしょう。

檀信徒に限定したものなら課税義務は生じない

ご質問にあるとおり、宗教法人が行なう収益事業には34業種が指定されています。

 

たしかに、旅行業は対象業種のなかにはありませんが、旅行会社が「旅行代理店」といわれるように、代理業ないし請負業に該当すると考えることができます。よって、普通の旅行会社と同様の事業を営んでいれば、当然、法人税が課されることになります。

 

しかしご質問のケースでは、広く一般から集客しているわけではありません。檀信徒のみを対象としているので、代理業ないし請負業とまではいえず、法人税はかからないと考えます。

 

これとは別に、「旅行業を営むには登録が必要ではないか」という点も気になるところですが、不特定多数を対象にしているわけではなく、年に2回程度しか実施していないことを勘案すれば、こちらも問題ないと思われます。安心して取り組まれるといいでしょう。

 

ひとつアドバイスするなら、この事業については別会計にしておくことをおすすめします。お寺の会計とは別にしてきちんと管理しておけば、事業実態の把握が容易で、万が一、大きな赤字になっても適切な手を打つことができます。ご検討ください。

本連載は、2016年2月24日刊行の書籍『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

神社・仏閣…… すべての宗教法人のための 収益UP&節税対策 パーフェクト・マニュアル

神社・仏閣…… すべての宗教法人のための 収益UP&節税対策 パーフェクト・マニュアル

山下 勝弘 監修

すばる舎リンケージ

われわれ税理士や会計事務所に寄せられる宗教法人の方々からの質問として多いのは、「支出入の扱いは法人か個人か」「相続について」「土地活用について」この3種類です。 宗教法人は「本来の宗教活動による収益」については…

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