今回は、所有する土地に建設したビルで納骨堂を運営した場合の課税について見ていきます。※本連載は、税理士・公認会計士であり、宗教法人からの税務相談に数多く対応している山下勝弘氏の監修書籍、『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』(すばる舎リンケージ)の中から一部を抜粋し、宗教法人の収益事業にまつわる課税について解説します。

ビルを建設して納骨堂の運営を開始したが・・・

県庁所在地にある寺院です。ターミナル駅近くに所有する土地にビルを建て、そのなかに約300基を収納できる納骨堂をつくりました。販売は、仏壇仏具の販売会社に委託しています。

 

当寺としては、宗教目的なので固定資産税などは非課税との認識なのですが、「課税されている地域もある」という話も聞こえてきており心配です。収益事業の対象になるかどうか、という点についても教えてください。

「物品の斡旋」などを行っていると課税対象!?

新聞報道(平成27年11月30日、朝日新聞)によると、ご質問にある「固定資産税を課税された宗教法人」は、納骨堂のなかに提携している仏壇仏具会社の出先を設けている、とされています。それ以上詳しい情報は持ち合わせていませんが、お寺の側が遺骨を納める人に対して物品の購入を斡旋している可能性が高いと思われます。ここが問題となったのでしょう。

 

もし、そうであるなら、物品の斡旋は収益事業であり、固定資産税の対象にもなります。

 

「課税した東京都も『実態に応じて』と言っている」とも報じられています。すべての納骨堂ビジネスに法人税や固定資産税が課されるわけではありませんから、まずはご安心ください。

 

整理しますと、納骨堂を運営すること自体はあきらかに宗教活動です。仏壇仏具の会社等にお客を斡旋してもらい、手数料等を支払うことも問題ありません。ここで止まっている限りは、法人税(=収益事業)や固定資産税云々という話にはならないはずです。

 

ご質問からは、どのような運営形態になっているのか詳しくはわかりませんが、「物品の斡旋に類する」部分があれば、改めるのが無難でしょう。

 

とはいえ、少し気になる動きではあります。この件については、新聞報道等、十分、注意を払われたほうがよいでしょう。

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    本連載は、2016年2月24日刊行の書籍『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    山下 勝弘 監修

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