今回は、神社が収益物件として使用していた土地の売却益が課税対象かどうかを見ていきます。※本連載は、税理士・公認会計士であり、宗教法人からの税務相談に数多く対応している山下勝弘氏の監修書籍、『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』(すばる舎リンケージ)の中から一部を抜粋し、宗教法人の収益事業にまつわる課税について解説します。

神社としては使っていない土地で貸家を営んでいたが・・・

当社は先代のころより、神社としては使用していない土地に建物を建て、貸家を営んでいます。ところが建物が老朽化し、借り主とも話し合いがついたので近々、建物は取り壊して更地にし、業者に売却しようと考えています。

 

このような収益事業に使用していた土地の売却益も課税されるのでしょうか?

保有して10年を超える土地なら非課税

借家経営は、収益事業の34業種にある「不動産貸付業」に当たります。収益事業に関しては、それによって生じたもの以外に、付随した行為による利益も課税対象になります。

 

ご質問にある「収益事業に使用していた土地を処分する行為」も該当するのですが、おおむね10年以上にわたって固定資産として保有していた土地建物などについては、損益に含めないよう定められています。

 

本ケースでは、「先代のころより」とありますから、おそらく10年は超過していることでしょう。よって、課税対象とはなりません。

 

もし10年を超えていないようであれば、更地にするのをもう少し先延ばしにしたほうが無難かもしれません。

 

一方、そのまま更地にして売却するのではなく、土地の区画の変更、マンション等を建てての分譲は、不動産販売業となるので注意してください。34業種に入りますから、当然、売却益は不動産販売業としての利益であり、法人税が課されます。

 

費用についても触れておきましょう。

 

更地にするのは取り壊し費がかかりますし、仲介業者への手数料等も必要になります。これらの費用はすべて損金処理することが可能です。お寺などでは宗派への承認料がかかるようなところもあるようですが、その費用も経費として認められます。

本連載は、2016年2月24日刊行の書籍『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

神社・仏閣…… すべての宗教法人のための 収益UP&節税対策 パーフェクト・マニュアル

神社・仏閣…… すべての宗教法人のための 収益UP&節税対策 パーフェクト・マニュアル

山下 勝弘 監修

すばる舎リンケージ

われわれ税理士や会計事務所に寄せられる宗教法人の方々からの質問として多いのは、「支出入の扱いは法人か個人か」「相続について」「土地活用について」この3種類です。 宗教法人は「本来の宗教活動による収益」については…

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