今回は、所有する山林の倒木の販売が収益事業に該当するかどうかを見ていきます。※本連載は、税理士・公認会計士であり、宗教法人からの税務相談に数多く対応している山下勝弘氏の監修書籍、『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』(すばる舎リンケージ)の中から一部を抜粋し、宗教法人の収益事業にまつわる課税について解説します。

倒木の販売価格が1,000万円以上に・・・

山間地にある神社です。当社は歴史が古く、広い山林を所有しているのですが、近年、台風や豪雨などで倒木が増えたため、何度か業者に依頼し木を買い取ってもらいました。なかなか質のよい木だそうで、販売額は合計で1,000万円を超えるまでになっています。

 

じつは神主仲間から、こうした行為は収益事業に当たるのではないか、調べたほうがいいのでは? とアドバイスされました。実際のところはどうなのでしょう。

継続性が認められないため、収益事業には該当しない

すでに何度か申したように、収益事業に当たるかどうかは、①課税対象事業かどうか、②事業場が設けられているかどうか、③継続して行なわれているかの3つの条件を満たすかどうかから判断されます。

 

ご質問のケースでは、①については物品販売に当たる可能性があります。②の事業場も社務所がそれに該当します。ただし、台風や豪雨で倒れた木を買い取ってもらっているわけですから、少なくとも③の継続性があるとはいえません。

 

よって、収益事業には該当せず、それによる利益への課税はされないと考えます。

 

これは聞いたケースですが、神域にある木を使ってお札等を製作する神社があるそうです。倒木や必要があって切り倒した木が出た際に限ってのことで、つくったお札も氏子や参拝客に差し上げているとか。お礼として奉納金をいただくケースもあるでしょうが、「ものの対価ではない」と考えられるので、法人税の課税は生じないでしょう。

 

一方、定期的に木を切り倒してお札をつくったり、売価のようなものを定めて販売したりしている場合は、「物品の販売」に当たり収益事業になるので注意してください。

本連載は、2016年2月24日刊行の書籍『神社・仏閣……すべての宗教法人のための収益UP&節税対策パーフェクト・マニュアル』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

神社・仏閣…… すべての宗教法人のための 収益UP&節税対策 パーフェクト・マニュアル

神社・仏閣…… すべての宗教法人のための 収益UP&節税対策 パーフェクト・マニュアル

山下 勝弘 監修

すばる舎リンケージ

われわれ税理士や会計事務所に寄せられる宗教法人の方々からの質問として多いのは、「支出入の扱いは法人か個人か」「相続について」「土地活用について」この3種類です。 宗教法人は「本来の宗教活動による収益」については…

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