日本人のほとんどの人は「一生住み続ける」ことを前提に家やマンションを買っている。そのために何千万円というお金を金融機関から借りているる。しかし、じつはほとんどの分譲マンションは、廃墟化への時限爆弾を抱えているという。マンションの廃墟化を防ぐ手立ては何か。本連載は榊淳司著『すべてのマンションは廃墟になる』(イースト新書)の一部を抜粋し、再編集したものです

今や高齢者が寄り添って過ごすデイサービス施設?

 

湯沢町のリゾートマンションを見ていると、そこの住人と思われる人には高齢者が多いことも意外だった。私が見せてもらったのは、11月の平日の午後。いくつかのリゾートマンションでは、浴衣を着てタオルを首にかけ、洗面器を持って大浴場に向かう高齢者と何度もすれ違った。

 

数十万円の購入費と月々3万〜4万円程度の維持費用で、温泉大浴場のついたマンションに住めるのである。ある意味で、高齢者向きと言えなくはない。ただし、湯沢は豪雪地帯だ。冬は雪に埋もれる。そういうときはどうするのだろう、と考えてしまった。

 

また、身体の弱った高齢者も多いようで、さまざまな問題が起こる。大浴場では、しばしばお湯の中に固形排せつ物が見つかるという。

 

かつて、リゾートマンションとして時代の先をゆく華やいだ存在だったのが、今や高齢者たちが寄り添って時間を過ごすデイサービス施設のようになってしまっているのだ。

 

榊 淳司
住宅ジャーナリスト

 

 

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