「築35年の老朽マンション」はもはや売るに売れない腐動産

日本人のほとんどの人は「一生住み続ける」ことを前提に家やマンションを買っている。そのために何千万円というお金を金融機関から借りている。しかし、じつはほとんどの分譲マンションは、廃墟化への時限爆弾を抱えているという。マンションの廃墟化を防ぐ手立ては何か。本連載は榊淳司著『すべてのマンションは廃墟になる』(イースト新書)の一部を抜粋し、再編集したものです。

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「一人前になったら家を建てる」の呪縛

日本人が新築ばかり買いたがる理由

 

私は一般の消費者からマンション購入についての相談を受ける機会が多い。

 

彼らと話していて不思議に思うことがいくつかある。

 

◎中古よりも、新築マンションを買いたがる

◎自分たちの予算ギリギリのところで買いたがる

◎買ったあとのことは、ほとんど心配していない

◎子どもが成長したあとのイメージが描けていない

 

以上のような傾向が顕著である。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
日本人は世界でも新築好きは際立っているという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

まず、「中古でも平気」という人の割合は以前に比べて多くなったように思えるが、今なお新築派の比率が圧倒的だ。特に女性においては、「基本的に新築でなければ」というほうが多いように思える。

 

日本人にとって「家を買うのなら新築」ということが、いつのまにか常識のようになっている。じつのところ、こういう感覚は欧米先進国とは異なっている。

 

たとえば、比較的新築住宅を建設しているアメリカと比べても、年間の着工数は人口比で日本は2.5倍となっている。日本人の「新築好き」は際立っている。なぜそうなのか。

 

大きくふたつの理由があると考える。

 

ひとつは宗教的なもの。神道では新しいものは「清い」とされ、古いものは「穢れ」となる。神道の大本のような存在である伊勢神宮では、20年に1度、本殿を建て替える「式年遷宮」をおこなっている。

 

多くの日本人が、この「清い」と「穢れ」の感覚をそのまま住宅購入に結びつけているのではないか。だから、新築は「清く」、中古は「穢れ」ていると捉えられる。そういうことから、新築が買える範囲にあるかぎり、新築を選ぶのだ。

 

もうひとつには、日本人のほとんどはつい半世紀前まで木造の一戸建てに住んでいた。この国では、地震や台風を始め、さまざまな自然災害に遭うことが多い。だから、住宅作りは基本的に安普請だ。そして、ひとつの住宅を何世代にもわたって使い続ける例は少ない。

 

「一人前になったら家を建てる」

 

それが日本人の常識のようになっている。この発想を、100年程度は使える鉄筋コンクリート造のマンションにも適用しているように思える。これは日本人の多くが、安普請の木造一戸建てに住んでいたときの感覚であり、鉄筋コンクリート造のマンションにあてはめるには、ふさわしくないように思える。

 

そして、家の購入こそは、人生の一大事業だ。だから、「なるべくいいものを、いいところに」となる。自然に、購入のための予算は収入から逆算して、支払えるギリギリのところに設定される。

 

住宅ジャーナリスト

1962年、京都府生まれ。同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部卒。1980年代後半から30年以上、マンションの広告・販売戦略立案に携わる。その経験を生かし、購入者側の視点に立ちながら、日々取材を重ねている。著書に『マンションは日本人を幸せにするか』(集英社新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)、『すべのマンションは廃墟になる』(イースト新書)などがある。

著者紹介

連載すべてのマンションは廃墟化していくという真実

すべてのマンションは廃墟になる

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榊 淳司

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