賃料の滞納リスクは裁判になる前の対処が重要
賃料の滞納は直接収入に影響してくるだけに、オーナーにとって大変悩ましい問題といえます。とりわけ、テナントの経営状況が悪化し、資金難に陥ったような場合には滞納リスクが一気に高まります。
一般的に、キャッシュが回らなくなった企業は、仕入れ先など取引相手への支払いや従業員の給与払い、銀行への返済を優先させ、賃料の支払いを後回しにする傾向が見られるからです。もちろん、テナントが賃料を支払わなければ、オーナーは契約を解除することが可能です。
しかし、そのために訴訟を起こしたとしても、裁判所は賃料不払いを理由とする解約を簡単には認めてくれません。たとえば、「借主が2ヵ月間賃料を支払わない場合、貸主は契約を解除できる」と契約書の中で定めていれば、テナントが2ヵ月間賃料を滞納したような場合、問題なく解除できると思うはずです。
しかし、過去の裁判例では、滞納期間が3ヵ月以上に及んでいなければ、裁判所は契約の解除を認めていません。また、訴訟の結果、解除が認められたとしても、テナントが自主的に退去しない場合には、強制執行の手続きも必要となります。そのためにかかる手数料と訴訟費用は、優に100万円を超えることもあります。それらの費用は、オーナーが負担しなければなりません。