「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

ばーばに叩かれて落ち込むじーじ

ばーばが大好きすぎて

 

デイサービスから帰ってきたじーじに、元気がない。それもかなりの落ち込み方である。あまりの落ち込み具合に「どうしたの?元気ないね」と聞いてみたら、「さっこ(私の母)に頭をはたかれた」と、しょぼ~ん。

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

じーじは、週2回ばーばが暮らしている施設のデイサービスに行って昼食を一緒に食べている。ばーばは、レビー小体型認知症、機嫌が悪いとご飯のお盆をひっくり返すという、寺内貫太郎ばりの荒業をやってのける(私は何度か味噌汁を引っかけられている(笑))。

 

この日、ばーばは機嫌が悪く「ご飯は食べない」と言ったのにもかかわらず、じーじが食べろ食べろとしつこく(いつものことらしい)言ったものだから、ばーばが怒って「じーちゃんなんか大嫌い~」と、頭をペシャリと叩いたらしい。

 

以前のじーじはかなりの亭主関白で、おまけに怖かった。認知症になる前の母は、じーじに一切口ごたえなどしたことない人だったから、じーじの衝撃は相当なものだっただろう。デイサービスから帰ってきてからずーっとしょぼん。何を言ってもしょぼ~ん。

 

後日、デイサービスのセンター長に事実確認をしたところ、やっぱり「食べろ食べろ」とじーじがしつこく言うので、ばーばが怒って、食事のお盆を乱暴に遠くに押しやった(通常はここで味噌汁がこぼれて、一緒のテーブルの人が味噌汁まみれになるのだが、この日は被害者なし)。

 

その光景を見たじーじが「何をするんだ」と大きな声を出したものだから、ばーばの怒りが頂点に達し、じーじの頭を思いっきり叩いたそうだ。

 

「さっこがご飯を食べないと心配なんだ。俺は何か悪いことをしたかな」とじーじ。「じーじがあまりにもしつこくするから、嫌われるんだよ」と心の中で思いつつも、あまりにも、しょぼ~んとしているじーじがかわいそうなので、この季節にしか販売していない、じーじの大好きなにごり酒を買ってきた。

 

「さっこにも飲ませてあげたいな」とじーじ。残念ながら母は酒飲みではないので、「ばーばはお酒は飲まないよ」とも言えず。

 

じーじはばーばが大好きなのであった。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

あなたにオススメのセミナー

    認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

    認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

    黒川 玲子

    海竜社

    わけのわからない行動や言葉を発する前に必ず、じーっと一点を見据えていることを発見! その姿は、どこか遠い星と交信しているように見えた。その日以来私は、認知症の周辺症状が現れた時のじーじを 「認知症のスイッチが入っ…

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    TOPへ