ばーばに叩かれて落ち込むじーじ
ばーばが大好きすぎて
デイサービスから帰ってきたじーじに、元気がない。それもかなりの落ち込み方である。あまりの落ち込み具合に「どうしたの?元気ないね」と聞いてみたら、「さっこ(私の母)に頭をはたかれた」と、しょぼ~ん。
じーじは、週2回ばーばが暮らしている施設のデイサービスに行って昼食を一緒に食べている。ばーばは、レビー小体型認知症、機嫌が悪いとご飯のお盆をひっくり返すという、寺内貫太郎ばりの荒業をやってのける(私は何度か味噌汁を引っかけられている(笑))。
この日、ばーばは機嫌が悪く「ご飯は食べない」と言ったのにもかかわらず、じーじが食べろ食べろとしつこく(いつものことらしい)言ったものだから、ばーばが怒って「じーちゃんなんか大嫌い~」と、頭をペシャリと叩いたらしい。
以前のじーじはかなりの亭主関白で、おまけに怖かった。認知症になる前の母は、じーじに一切口ごたえなどしたことない人だったから、じーじの衝撃は相当なものだっただろう。デイサービスから帰ってきてからずーっとしょぼん。何を言ってもしょぼ~ん。
後日、デイサービスのセンター長に事実確認をしたところ、やっぱり「食べろ食べろ」とじーじがしつこく言うので、ばーばが怒って、食事のお盆を乱暴に遠くに押しやった(通常はここで味噌汁がこぼれて、一緒のテーブルの人が味噌汁まみれになるのだが、この日は被害者なし)。
その光景を見たじーじが「何をするんだ」と大きな声を出したものだから、ばーばの怒りが頂点に達し、じーじの頭を思いっきり叩いたそうだ。
「さっこがご飯を食べないと心配なんだ。俺は何か悪いことをしたかな」とじーじ。「じーじがあまりにもしつこくするから、嫌われるんだよ」と心の中で思いつつも、あまりにも、しょぼ~んとしているじーじがかわいそうなので、この季節にしか販売していない、じーじの大好きなにごり酒を買ってきた。
「さっこにも飲ませてあげたいな」とじーじ。残念ながら母は酒飲みではないので、「ばーばはお酒は飲まないよ」とも言えず。
じーじはばーばが大好きなのであった。
黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者
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