火災現場では、燃え煤のなかに様々な物質が含まれています。燃えた際の温度や材料によって含有物は変わるため、入室の際は細心の注意が必要になります。本記事では、ダイヤモンドプリンセス号の除染作業に従事した、特殊清掃のプロ集団である「特掃隊」の連載「HOW TO コラム」より一部を抜粋し、火災現場の健康被害について解説します。

吸い込んでしまったアスベストは除去できるのか

吸い込んでしまったアスベストの一部は、異物として痰のなかに混ざり、体外に排出されるのですが、大量のアスベストを吸い込んだ場合や大きなアスベストは、除去されずに肺内に蓄積されるといわれています。本記事で「大量吸引の危険」を強調している理由もこの説を重視したためです。

 

※厚生労働省の見解では『過去、石綿にばく露したことによる中皮腫や肺がんの発症を予防することについては現在有効な手段は明らかではありませんが、石綿を吸い込んだ方が全て中皮腫を発症するわけではありません。吸い込んだ石綿の量、期間、種類によって異なります。』 とありますが、結局は「よくわからない」ということです。

 

また、アスベスト関連の工場で働いていた人々のうち、発症する者・しない者と、発症に個人差があり、発症の目安が不明であるにも関わらず、発症した労働者の家族は奥さんも子供も家族ぐるみでアスベストの被害にあってしまった事例がありました。

 

これは労働環境が同一で、アスベストを吸った総量もほぼ同じであるにも関わらず、病気の発症には「個人差」がある、しかし、発症した労働者の家族は家族全員が悪性中皮腫等の病気を発症してしまったということになります。

 

発症の「個人差とは何か?」という点から検討して、当組合では「生活習慣」や「生活環境」そして「アスベストの自宅への持ち込み」が原因だろうと推測し、リフォーム工事の現場でアスベスト建材に関わってしまった場合は「吸わない」「持ち出さない」「家に入れない」ことに気を配っています。

アスベストによる健康被害…主な症例はこちら

●石綿(アスベスト)肺


肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一つです。肺の線維化を起こすものとしては石綿のほか、粉じん、薬品等多くの原因があげられますが、石綿のばく露によっておきた肺線維症を特に石綿肺とよんで区別しています。職業上アスベスト粉塵を10年以上吸入した労働者に起こり、潜伏期間は15~20年といわれております。アスベストばく露をやめたあとでも進行することもあります。

 

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