近年、行政への「ごみ屋敷」に関する相談が増えています。不衛生な環境のなかで暮らすと健康リスクがあることは想像できますが、もっと恐ろしいことは、たとえ火の気がなくても火災になる危険性をはらんでいることです。その理由を見ていきましょう。※本連載は、ダイヤモンドプリンセス号の除染作業にも従事した、特殊清掃のプロ集団である「特掃隊」の連載「HOW TO コラム」より一部を抜粋・再編集したものです。

「ごみ屋敷化」した物件に多い4つの特徴

ごみ屋敷化してしまう要因は様々です。ごみ屋敷は、複雑化する生活環境、働き方、晩婚化、核家族など、現代日本が抱える様々な問題を背景に発生している場合が殆どであります。そこで、ごみ屋敷化してしまった物件に多い特徴をご紹介いたします。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

①高齢者に多いごみ屋敷

高齢者の場合ですともったいない…いつか使うだろう…といった考えから物を溜め込み、家のなかに物が溜まっていきます。

 

近年では断捨離や生前整理という言葉も多く聞かれ、片付けておこう!という風潮もありますが、まだまだ全世帯が対策しているとはいえません。

 

高齢者といっても、まだまだ元気なうちはよいのですが、身体が衰えて次第に整理整頓が追い付かなくなってくると床は物で溢れ、一つまた一つと部屋が使えなくなり、最終的には自身の生活スペース以外の場所は足の踏み場のない状態になっていきます。

 

年齢を重ね、歩くことなども辛いようになれば、掃除まで手が回らなくなることは必然です。ましてや団地住まいなどになれば、階段を使ったゴミ出し等は重労働です。高齢化社会がもたらすごみ屋敷といってよいでしょう。

 

②働き盛りの中年層に多いごみ屋敷

中年層の場合は、アルコール依存症の方やコンビニ弁当などで、家中がお酒の容器とつまみなどで溢れ、不衛生な住環境と偏った食生活の末、孤独死(孤立死)という結末が非常に多いように見受けられます。

 

近年は晩婚化や離婚率の増加などによって単身の方が多く増加しました。ひと昔前では食事、洗濯、炊事が嫁の仕事で、男は外で働く!といった風潮でありました。

 

しかし、現代ではそうはいきません。夜遅くまで働き、家に帰ってきて、衣食住にまで使う気力が無く、コンビニ弁当に缶チューハイで食事を済ませ寝るだけ!

 

こういった働き盛りの方は多くいらっしゃいます。内助の功!という時代であれば発生しないタイプのごみ屋敷です。晩婚化、女性の社会進出などが要因であり、社会の働き方の多様化なども問題の原因と思われます。

 

近年働き方改革が叫ばれることで一定の改善は認められるかもしれませんが、晩婚化や独身化が進むため、なかなかなくならないごみ屋敷の一つです。

 

③若者に多いごみ屋敷(物屋敷)

ネット社会は非常に便利であります。ネットを使えば様々な商品が自宅にボタン一つで届きます。様々な情報から、自分の趣味性の高い物などを売り買いすることも可能です。人間の生活や趣向の在り方を根底から変えるまでの存在となったインターネット!

 

しかしこのネットの普及がごみ屋敷に起因しております。冷静な判断をせず、ボタンをワンクリックで購入してしまったり、様々な物を購入したが、届いたときには箱から開封すらしていない。このようなことが発生しています。

 

簡単に手に入るからこそ、物の価値を下げてしまったのかもしれません。趣味性の高い収集癖のあるマニアの場合は、私たちプロのごみ屋敷業者の間では実はごみ屋敷とはいわず物屋敷と呼んでいます。

 

マニアの方の家はその道のマニアなので、専門の方々からすると非常に希少価値の高い物が多く、なかにはとんでもない金額で取引されている品もあります。

 

④近年急増する女性のごみ屋敷

そして、近頃需要があるのが女性のごみ屋敷清掃です。昨今では女性の社会進出が増え企業においては女性が働きやすい環境作りに力を入れている企業や女性管理職も珍しくない時代になってきました。

 

その裏で、仕事に追われ家のことが疎かになり結果ごみ屋敷化してしまうケースや、地方から大学進学のため上京してきた方が実家と都会のごみの分別方法の差に悩まされ手に負えずにごみを溜め込んでしまう場合もあります。

 

業者に清掃を頼みたくても、女性の部屋に業者(男性)が見積りに来て作業するのは女性の依頼者側からしたら絶対に避けたい、と思います。

 

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