子会社や取引先など、事業関連性を有する者に対する債権放棄や無利息貸付について、その債権放棄等をしなければより大きな損失を蒙ることが明らかな場合や、合理的な経営再建計画に基づく行為である場合には、それが必ずしも経済的利益の供与に該当しないものとして、その債権放棄等の金額は寄附金の額に該当しないものとされています。
この点、経営再建計画等が合理的であるかどうかなどの判断を慎重に行う必要があります。
上記の要件を満たさない場合には、原則に戻って寄附金として取り扱われ、一定の損金算入限度額までしか損金算入が認められません。
また、債務者が100%の支配関係がある国内の子会社に該当するようなケース(法人税法37条2項)や、50%以上の支配関係がある海外子会社に該当するようなケース(租税特別措置法66の4条第1項)には、その寄附金の全額が損金不算入となります。グループ会社に対する債権を放棄するようなケースには注意が必要です。
(2)新型コロナウイルスに関連する資金繰りの悪化(法人税基本通達9-4-6の2、9-4-6の3)
基本通達の文言を引用すると下記の通りです。
(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
9-4-6の2 法人が、災害を受けた得意先等の取引先(以下9-4-6の3までにおいて「取引先」という。)に対してその復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間(災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいう。以下9-4-6の3において同じ。)内に売掛金、未収請負金、貸付金その他これらに準ずる債権の全部又は一部を免除した場合には、その免除したことによる損失の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
既に契約で定められたリース料、貸付利息、割賦販売に係る賦払金等で災害発生後に授受するものの全部又は一部の免除を行うなど契約で定められた従前の取引条件を変更する場合及び災害発生後に新たに行う取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様とする。(平7年課法2-7「六」により追加、令2年課法2-10「一」により改正)
(注)
1 「得意先等の取引先」には、得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店等のほか、商社等を通じた取引であっても価格交渉等を直接行っている場合の商品納入先など、実質的な取引関係にあると認められる者が含まれる。
2 本文の取扱いは、新型インフルエンザ等対策特別措置法の規定の適用を受ける同法第2条第1号《定義》に規定する新型インフルエンザ等が発生し、入国制限又は外出自粛の要請など自己の責めに帰すことのできない事情が生じたことにより、売上の減少等に伴い資金繰りが困難となった取引先に対する支援として行う債権の免除又は取引条件の変更についても、同様とする。
上記の基本通達は、従来、被災した取引先の債権の免除について、寄附金に該当しないことを定めていたものでした。
しかし、令和2年4月13日付の法人税基本通達の改正により、新型コロナウイルス等の感染症の影響に伴う取引先の資金繰りの悪化に起因して行う債権の免除も、上記の通達の対象に含まれることが明確化されました。
この場合においても、その債権の免除が通達に定める事象に起因したものかどうか、因果関係などについて詳細な分析を行うことが必要です。
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