競馬で勝利したサラブレッドを囲む、ジョッキー、調教師、そして馬主。こんな光景を一度は見たこと、あるのではないでしょうか。馬主なんてお金持ちだけ、と考えがちでしたが、一口馬主という制度もあり、意外と簡単になれるものです。今回は、馬主なら知っておきたい、税金まわりのことについて解説していきます。

競走馬オーナー…所得税について考える

9月16日は競馬の日です。これは1954年9月16日に日本中央競馬会が設立されたことを記念したものです。ちなみにJRAは日本中央競馬会法に基づく特殊法人で、政府全額出資の公共企業です。

 

今回は競馬の日にちなみ、競走馬のオーナー、いわゆる「馬主」についての税金について解説します。法人で馬主になることもありますが、個人のお話に限定します。

 

いつか馬主になってG1制覇(※画像はイメージです/PIXTA)
いつか馬主になってG1制覇(※画像はイメージです/PIXTA)

 

■収益と費用

収益は、レースに出た際に貰える賞金や出走手当、もしくは競技中にケガを負った場合などにもらえる給付金といったものがあります。

 

費用としては、調教師に支払う委託料、騎手に支払う進上金、馬の輸送料などです。

 

通常の事業と同様、交際費や旅費交通費なども馬主事業に関するものであれば経費計上が可能です。

 

特徴的と言えるのは、競走馬の減価償却です。器具備品や機械装置と同じように、競走馬も資産計上した上で、減価償却費として毎年徐々に費用化します。競走馬の耐用年数は4年と決められています。

 

減価償却は、原則的には競走馬登録が完了した日から開始するのですが、継続適用することにより、馬齢二歳の4月から開始することも認められています。

 

■事業所得か雑所得か

馬主の税金で、最も重要なのが事業所得になるか雑所得になるかという点です。両者の最大の違いは、事業所得であれば損益通算ができますが、雑所得では損益通算ができないことです。事業所得で赤字となった場合、他に給与所得などがあれば相殺することが可能です。雑所得では赤字は切り捨てられて終わりです。

 

所有している馬があまり勝てないと赤字になる年も多くなりますので、事業所得として損益通算ができることは大きなメリットです。その他、青色申告による最大65万円の青色申告控除など、事業所得の方が優遇されている規定が多くなっています。

 

事業所得になるかは、競走馬の保有数や出走回数によって決まります。具体的には下記のような取り扱いです。

 

(1)保有頭数による判定
①その年において、登録期間が6カ月以上である競走馬を5頭以上保有している場合
②その年以前3年以内の各年において、登録期間が6カ月以上の競走馬を2頭以上保有し、かつ、その年の前年以前3年以内のうちに、競走馬の保有に係る所得の金額が黒字の金額である年が1年以上ある場合

(2)出走回数による判定
その年の前3年間の各年において競馬賞金等の収入があり、その各年のうち年間5回以上(2歳馬については年間3回以上)出走している競走馬を保有する年が1年以上ある場合

※事業所得として認められためには、日本中央競馬会や各地方競馬組合が発行する証明書の添付が必要となります。

 

一口馬主という制度もありますが、これは組合に対して出資をし、組合が競走馬を持つような仕組みで、賞金の配当なども口数に応じて受け取れますが、出資の配当という位置づけになり、雑所得になります。

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