コロナ禍で急増する「電子取引」…証憑の保存はどうする?

最近は請求書や領収書などの書類を、メールやシステムでやり取りするケースも増えてきました。特にコロナ禍の影響でテレワークを推進している企業も多く、極力紙ベースではなくデータでのやり取りにシフトすることを検討しているケースもあるでしょう。今回は電子取引による書類の保存方法について解説します。

そもそも「電子取引」とは何なのか?

電子取引とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます。取引情報は、契約書、請求書、領収書等の書類に通常記載される事項であり、これらの情報を電子上でやり取りする取引になります。

 

紙からデータへ(※画像はイメージです/PIXTA)
紙からデータへ(※画像はイメージです/PIXTA)

 

具体的には、以下のようなものが該当します。

 

(1)電子メールによる請求書、領収書のPDFファイル等の受領

(2)インターネットのホームページから請求書、領収書のデータをダウンロードすることでの受領

(3)電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用

(4)クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードの支払データ等を活用したクラウドサービスの利用

(5)特定の取引に係るEDIシステムを利用

電子取引による書類の保存は、税務署の承認が不要

電子データでの書類の授受がされた場合、大きく以下の二つに分けられます。

 

(1)電子データでも行うが、紙も発行されるケース

(2)電子データで完結するケース

 

(1)については、たとえばメールで請求書を送った後に、原本を紙で郵送するようなケースです。紙が出る以上は、その紙を保存する義務が出てしまいます。紙ではなく電子データで保存をしたい場合は、3ヵ月前までに税務署へ承認申請が必要です。相手から受領する請求書や領収書を電子データとして保存する場合は、スキャナ保存といって、タイムスタンプを付与する必要があります。

 

(2)については、①紙に出力したものを保存、②電子データのまま保存、のいずれかを選択することになります。ここが重要なポイントですが、②電子データのまま保存を選択した場合でも、税務署への承認申請は不要です。

 

ただし、電子取引につき無条件で電子データのまま保存することを認めているわけではなく、一定の要件を満たす必要があります。逆に言えば、一定の要件を満たすのが難しい場合は、①紙に出力したものを保存することが求められます。

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    アンパサンド税理士法人/アンパサンド株式会社 税理士/経営心理士

    大学を卒業後に税理士試験に専念した後、平成20年1月に都内大手税理士法人に就職。 個人や中小同族会社の税務相談や経営周り全般の相談から大手上場企業の税務相談まで幅広い分野で活躍。事業承継、組織再編、連結納税、国際税務、事業再生と多岐に渡るコンサルティング実績がある。また、相続申告業務についても多数の実績を有する。
    平成27年1月 山田典正税理士事務所として独立。独立後も、補助金支援において創業補助金採択、ものづくり補助金採択の実績を有し、生産性向上設備投資促進税制の申請支援、資金調達支援、事業承継支援、上場企業の税務顧問等、多数の実績を有する。
    平成30年1月、社名をアンパサンド税理士事務所に変更
    令和元年10月、アンパサンド税理士事務所より組織変更

    著者紹介

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