「住宅ローン控除」延長へ…我が家は対象となる?
■個人所得税課税
①住宅ローン控除の特例措置
消費税率が10%に改正されたタイミングで導入された住宅ローン控除の特例措置で、控除期間が通常は10年間のところを13年間に延長するというものがありました。こちらの措置について、従来は令和2年12月31日までに取得した住宅が対象となっていましたが、令和3年1月1日~令和4年12月31日までに取得の住宅についても適用ができることになります。契約の時期については縛りがありますので注意が必要です。
②社債の利子等に対する課税の見直し
社債の利子については、所得税・住民税において原則は分離課税(20.315%)が適用されるものの、同族会社が発行した私募債の利子については、同族株主やその親族が支払いを受ける場合には総合課税になるような措置がされています。
ただし、同族会社であってもいわゆる子会社や孫会社から個人株主が利子の支払いを受ける場合には総合課税の対象となりませんでした。今回の改正で、株主が法人であっても、その法人に50%超の支配関係を有する個人は総合課税の対象になることになります。この改正は令和3年4月1日以後に支払を受けるべき社債の利子等について適用します。
③退職所得課税の適正化
退職金に対する所得税の課税においては、退職所得控除がされた後に1/2を乗じた金額が所得金額とされます。平成25年以降、勤続年数が5年以下の役員の場合には、この1/2を乗じる計算ができないようになる措置が取られていましたが、こちらの対象を役員だけではなく、従業員にも対象を拡大するというものです。
ただし、従業員で改正の対象となる場合であっても、退職金額から退職所得控除を差し引いた金額のうち300万円部分については1/2の計算が認められており、それを超えた部分についてのみ1/2を認めないという措置がされます。この措置は令和4年分以後の所得税について適用します。
④源泉徴収関係書類の電磁的方法による提供の要件緩和
源泉徴収関係書類とは、いわゆる年末調整の際に提出する書類のことです。こちらの書類について電磁的方法(つまり、クラウドの給与システム等を利用して書類を提出する方法)による場合には、書面による書類の保存が不要とされていました。ただし、この方法による場合には事前に申請書の提出が必要で税務署長の承認を受ける必要がありましたが、こちらの承認手続きが不要となりました。この改正は、令和3年4月1日以後に提出する源泉徴収関係書類について適用します。