中古住宅の価格が落ちない理由は「建物の寿命の長さ」
アメリカで中古住宅の価格が落ちない理由の一つ目は、新築物件の供給が少なく、住宅市場において中古物件が占める割合が8割以上だという点、二つ目は、DIYによって住人が建物をリフォームして価値を高めることが広く行われている点でした。そして三つ目の理由は、建物の寿命が長いことです。
アメリカで生まれ育った私が日本に来て感じたことは、同じ木造住宅でも、日本の家の方が平均的な大きさが小さいのは当然ですが、それだけではなくて、全体的に建材が「きゃしゃ」だということです。もちろん、耐震性能などの構造計算はしっかりなされており、その点ではおそらくアメリカの住宅よりも優れているのでしょうが(アメリカは地震が非
常に少ないので耐震性能が日本ほど厳密に求められない)、建材がきゃしゃであることから、寿命は短い場合が多いようです。
日本の木造住宅の法定耐用年数は22年です。一方アメリカでは、27.5年です。そこからもアメリカの住宅の方が長寿命であることは推測できますが、22年と27.5年という差以上に、日米の住宅の利用可能期間には差があると思います。
イギリスでは、住宅は主にレンガでつくられます。そのため、建物は非常に長持ちし、築200年、300年といった家でも普通に住んでいるものもあります。イギリスからの移住者がつくった国、アメリカでは、カナダから安価で良質な木材が豊富に輸入できることもあり、木造住宅が主流です。しかし、イギリスで培われた「家は長く使う」という文化風土が根付いているため、木造住宅であっても長期間使える頑丈さに重きが置かれています。
非常にしっかりした耐久性の高い建材が使われ、(地域によりますが)ほとんど地震が発生しないといったことから、住宅は大切に使えば100年はもつと考えられており、80年〜100年前の木造住宅が現役で使われていることも、珍しくありません。日本の奈良県にある法隆寺が、建てられてから1400年の木造建築であることを考えれば、100年もつことはなんら不思議ではないでしょう。
もちろん、物件によって異なり、すべての家が必ず100年使えるというわけではあり
ませんし、手入れや修繕によっても状態は大きく変わります。しかし、少なくとも日本の住宅のように、平均寿命が30年程度ということはありえません。