シンプルな問いのほうが、回答率が高い
今回3週間ほどのテストを廻し、誤差が2%以下になるサンプル数がそろい集計をすると以下のような結果になりました。
(1)47.8%
(2)39.2%
(3)32.1%
上記の表の通り、シンプルな会話の方が、純粋に回答率が高く、長いほど回答率は下がるという結果になりました。
もちろん、これは短ければ短いほど、回答率が高くなるということではありませんが、無駄に丁寧で長いものは、離脱の大きな要因ともなることが証明されました。
確かに、人間でもLINEやメールで長文がくると身構えてしまうことがあります。もちろんTPOに合わせて敬語や謙譲語を使うことも必要ではありますが、チャットボットの場合は特に端的な会話をするほうがユーザーである人間からかは好まれるようです。
今では、この結果を活かし挨拶や会話をシンプルにしたところ、とあるグルメサイトのキャンセル分析のチャットボットでは回答率74%という非常に高い数字がでています。(通常は25%から35%程度)このことから、意味をなさない文頭の挨拶はチャットボットには不要であったことが分かりました。実際、メールや手紙の時候の挨拶なんかは、人と人のコミュニケーションにおけるマナーであり、それそのものは、意味を持たないことが大半で、チャットボットの世界に受け継ぐ必要はないことのようです。
どうしても人は、依頼や謝罪の時、また丁寧に対応しなければと振る舞う時は、どうしても言葉が長くなり遠回しに質問をしたり、焦点をボヤかしたりすることが多くなってしまいます。これをそのままデジタルの世界で表現しようとすると余計なバイアスがかかり、人間以上の鬱陶しさを感じてしまいます。デジタル上でのコミュニケーションを設計する側の人間は、これをきちんと踏まえ適切なコミュニケーションがとれるようにコミュニケーションのフレームワークを設計する必要があります。
筆者は、これまで、ずっとチャットボットを人間に近づけるような仕組みや設計をしてきましたが、最近は、チャットボットはチャットボットであり、人間に不快な気持ちにさせないということが大事だと感じるようになりました。
ある意味、「話が長い」と注意された人間が物事を端的に話すようになり、コミュニケーション能力を改善するのは、人間的な振る舞いなのかもしれませんが、チャットボットが人間と快適にコミュニケーションを取るには、チャットボットの立ち位置をもしっかりと理解し、不快な思いをさせないという点に重きを置くことが大切だと感じました。
現在、世間にでているコミュニケーションボットは全体的にアグレッシブな態度をとるチャットボットが多いと感じますが、いずれはチャットボットが人間の感情を汲み取って、適切な距離を取るような日もきっと来ることでしょう。
佐野 敏哉
株式会社Macbee Planet エヴァンジェリスト
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