他社との差別化が難しいSVODサービス
コロナの脅威はまだまだ続いております。コロナの感染拡大の第3波を前に、マーケットや世論もじっと身構えているといった感じでしょうか。早く収束することを願うばかりですが、日本国民も初めて外出自粛を経験したことにより、新しい概念や価値観がもたらされたと思います。
断捨離が流行ったり、巣ごもりにより太った人が増えたりと、思いがけない変化もありましたが、ここではもう少し的を絞りコロナ前から注目されていた、サブスクリプションがコロナの繁忙期を経験し、どのようなことが舞台裏で起こったのかをお話したいと思います。
今回は、サブスクの一番馴染みもあり、すでにレンタルビデオからその役目を奪いとったともいえるSVOD(サブスリプションビデオオンデマンド)についてお話しします。
NetflixやAmazon Prime Videoを代表としたサービスは、皆さんの中にも、すでに契約中という方も多いでしょう。加えて、最近は日系のサービスも充実してきて、テレビは各局出揃った感もあります。さらにこのコロナの巣ごもりで、SVODサービスへの加入は加速度的に増え、4月頃からどのサービスも加入者は増加しました。
ただ、この乱立しているように見えるサービスですが、それぞれの違いはなんでしょうか?多くのサービスがオリジナルコンテンツを作成し独占配信していたりしますが、現在ブームになっているアニメ「鬼滅の刃」などは、テレビ局のメインの協賛ではなく、どのSVODサービスにもフラットに配信されていているため、どのサービスに加入していても鑑賞することが可能です。
そうなると、加入者は果たして何を求めて加入するサービスを選定しているのでしょうか?
入会検討者は、まず見たいコンテンツありきで加入を試みます。ここで見たいコンテンツがどのサービスでも配信をされている場合は、機能や価格、ブランドの順番で検討を行います。今はどのサービスもクレジットカードの登録をすれば、最初の一定期間無料で利用できるため、お試しでも制限なく見ることができます。特に最近では、学生や無職の人でも簡単に作ることができるバンドルカードというクレジットカードのようなものができ、無料期間を誰でも体験できるようになりました。
この無料期間から有料への引き上げ率は、振れ幅はありますが実質10%から20%程度です。中には数%のサービスもあります。このコロナ禍、ある企業はサポートセンターへの問い合わせの電話が、無料期間を利用中のユーザーからのものが大半を占めてしまい、当時、料金を払って利用している既存客への対応が手薄になってしまったといいます。フリーライダーと呼ばれる無料期間だけ利用し企業への課金をしない人は比較的、要望やクレームの声が大きく、企業の課題となっているのも事実です。