サブスク時代のリテンションマーケティング(解約防止)に注目が集まっています。コロナ禍で初めてサブスクリプションやECを体験した人も急増するなど、入会や注文が手軽にできる半面、利用者は解約もネットで簡単にできるようになり、企業は解約という課題が突きつけられています。リテンションマーケティングに詳しい株式会社Smashの佐野敏哉氏が膨大な顧客データから解約防止につながる7つの要素を明らかにします。本連載は株式会社Smashの佐野敏哉氏がいまデジタルマーケティングの現場で何が起きているか、分かりやすくレポートします。

「知らない顧客」にはサービス内容を教える

毎年毎月、想像もしないことが起きる世の中になりました。ニューノーマルやサスティナブルなど新しいキーワードを耳にするようにもなり、マーケットもそれに併せて様々なサービスや商品がでてきました。ある程度、市民権を得ていたサブスクリプションやECはコロナ禍で需要がさらに増え、爆発的な伸びを見せています。

 

中には、コロナ禍で初めて、このサブスクリプションやECを体験したという方もいらっしゃるでしょう。ネット環境で入会や注文が気軽にできる半面、利用者は解約もネットで簡単にできるようになり、企業は解約というものの課題が今以上に増えてきたことを実感しています。

 

当社も現在、サブスクや定期通販だけでなく、グルメサイトやエステなど様々な解約に向き合いサポートをしています。今回は解約抑止のサービス開始から約1年が経過し、膨大な顧客のローデータの中から解約抑止につながる大きな要因となる7つの要素をまとめてみました。

 

解約防止につながる施策があるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
解約防止につながる施策があるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

①知らないこと、勘違いは教えてあげる

 

解約の理由には、思っていたより見たいものがなかった、広告ほど効果がなかったというものが上位にあがります。実際、その通りの商品やサービスがないとは言えませんが、せめて100%正しく使ってもらってから判断してほしいと思うのが、提供者側の心情です。

 

解約時の会話を分析してみたところ、半分以上の人がサービスの全容を知らないまま解約しようとしたり、飲み方や使用方法を勘違いして正しい効果がでない人がいることが分かりました。解約する前に、すべての価値や正しい利用方法で使ってから、再度判断してもらうだけでも、解約率を下げることができます。また提供者側も、そうしてから顧客に再度厳しい判断をしてもらうのを望んでいるでしょう。

 

実際、ある通販業社で、商品が余るという解約理由が1位の企業がありました。その企業は、そのような利用者用に、商品の配送時期を変更できるページや電話を用意していのにも関わらず、利用者はそれほどいませんでした。

 

そんな中、解約時の理由に商品が余っていると答えた人に、配送時期を変更できるページの存在を教えると約25%の人が解約を踏みとどまり、配送時期の変更を選んでくれました(表1参照)。

 

表1: 健康飲料通販企業の解約理由とその理由に対しての解約防止率
表1: 健康飲料通販企業の解約理由とその理由に対しての解約防止率

 

「教えてあげる」といえば、旦那さんが解約をしようとしたとき、奥さんがまだそのサービスや商品を使用中ではないかと教えてあげる事も大きな抑止につながります。

 

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