5000万年前から農業を営み、抗生物質を作りながら持続的生活を送っているハキリアリをご存じでしょうか。人類の何倍もの年月をかけて社会ルールを作ってきたハキリアリに人間は何を学ぶべきでしょうか。本連載は株式会社Smashの佐野敏哉氏がいまデジタルマーケティングの現場で何が起きているか、分かりやすくレポートする「サブスク新時代のリテンションマーケティング」の特別編をお届けします。

農業をして生きるハキリアリの凄い能力

ふとしたことから「ハキリアリ」という蟻の情報を目にしました。英語では「umbrella ant」とも呼ばれ、切り取った葉っぱを傘のように持ち運ぶことからそう呼ばれているそうです。

 

一般的にハキリアリは、巣の中でキノコを栽培し、それを食べるアリというイメージで知られているかと思います。自分がハキリアリの存在について知ったきっかけは、雨により巣が壊れてしまい、みんなで一生懸命修復している様子が紹介されているのを見た時でした。

 

どんな生き物も、さまざまな困難に立ち向かいながら生きているのだなと共感していると、このハキリアリたちは普段はそれぞれに任命されたメインジョブがあり、仲間全員に関わる危険やトラブルが発生すると、そのメインジョブを一時放棄し、その危険を優先してみんなで対応をするそうです。

 

一般的にハキリアリは、巣の中でキノコを栽培して、それを食べるいうことで知られている。(※写真はイメージです/PIXTA)
一般的にハキリアリは、巣の中でキノコを栽培して、それを食べるいうことで知られている。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

これを見ていて、まさにコロナ禍の今の状況に面している人類と通じるとこがあるなと、一気にハキリアリに興味を持ち、本を読み漁ってしまいました。今回の寄稿は、普段とは違うテイストの内容にはなりますが、ハキリアリから学ぶ生き方を普段の仕事の考え方、価値観等に当てはめ、参考にしていただければ幸いです。

 

①農業を営み、抗生物質を作る

 

ハキリアリは、はるか5000万年前から、葉っぱを切って巣に運んで巣の中でその葉っぱに菌糸を植え、キノコを栽培し、それを食料として子孫繁栄を行なってきました。いま流行りのサスティナブルな考えをもった集団です。生物の中で農業をして生きているのは、人間とハキリアリだけになります。

 

また、このハキリアリは抗生物質をつくる能力も兼ね備えており、さまざまな形で自らの病気や、栽培しているキノコの病気をこの抗生物質で防いでいるそうです。人間が抗生物質を発見したのは1928年になりますから、そうとう昔から抗生物質を利用して社会の安定を作っていたといえます。

 

抗生物質は何度も同じものを利用していると耐性ができると言われていますが、ハキリアリがそれをどう克服しているのかは、まだ分かっていないようです。人間は、地球上で一番優れた生物だと自負していますが、意外とそうでもないのかもしれません。時にはおごらず、まわりの生物や植物から学ぶことも必要になります。

 

少しこじつけになってしまいますが、会社の中でも、常におごらず、いろいろな人から学ぶ姿勢を忘れてはいけないと感じさせられました。自分が一番知っていると思っている知識や作業でも、周りには、もっと習得している人がいるかもしれないということを忘れてはいけないと思い出させてくれます。

 

②ハキリアリのメイン通路

 

ハキリアリの巣には、メイン通路があり、この通路だけは幅広く平らに掘られているため、多くのアリが高速で疲れなく移動できるようなつくりになっているそうです。それは人間の世界でいう高速道路とでもいうべきものでしょうか。

 

普段、多くのメンバーが携わるタスクや仕事は、こんな感じにストレスレスで分かりやすく設計されているでしょうか? 仕事は、時に内容や目的が変わっても同じプロセスで進めることもあります。そして、そのプロセスが多く重なっている部分は、誰もが負担なく簡単にできるようになれば、組織全体の効率化が図れるでしょう。

 

また、プロセスだけではなく、オフイスやみんなが使う共有スペースは整理整頓され、快適に使えるのが望ましいでしょう。詳しくは後述しますが、ハキリアリの世界では、この通路や部屋のゴミ掃除をしているのは年配アリの担当となっています。

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