本記事は、西村あさひ法律事務所が発行する『スポーツビジネス・ロー・ニューズレター(2020/12/4号)』を転載したものです。※本ニューズレターは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法または現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、西村あさひ法律事務所または当事務所のクライアントの見解ではありません。

 

本ニューズレターは、2020年12月2日までに入手した情報に基づいて執筆しております。

1. はじめに

本年度のプロ野球では、11月下旬より、各球団においていわゆる契約更改が開始されています。本年度の交渉は、新型コロナウイルスの拡大により、球団及びそのオーナー企業の経営に影響が生じており、また、来シーズンの試合の開催状況への影響が懸念されている中で、これらが選手の年俸にどのように反映されるかが大きな焦点となっています。

 

2020年10月末に、日本プロ野球選手会から12球団に対して、球団側が来シーズンの年俸の一律の減俸を一方的に決めないこと、選手に対して経営資料を開示して丁寧な説明を行うこと等を求める要望書(以下「本要望書」といいます)が提出され※1、同年11月9日、日本野球機構(NPB)は一律の減俸は行わない旨を回答しています※2

 

※1 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201030/k10012689321000.html

※2 https://hochi.news/articles/20201102-OHT1T50283.html

 

そのような中で、中日ドラゴンズでは、同年11月27日時点で、複数の選手について、球団側から増額提示がなされたものの、他の球団の契約更改結果をみて判断したいとの理由で保留したことが報道されています※3

 

※3 https://www.tokyo-sports.co.jp/baseball/npb/2453055/
その後、日本プロ野球選手会は2020年11月28日に中日ドラゴンズに対して、査定方法の事前説明が二転三転したり不十分な点があったりしたこと等を指摘する抗議文を発送しています(https://news.yahoo.co.jp/articles/825d5de72b3e1a864cfdc7d98f913d4ca1ca95c7)。

 

一方で、球団の中には、新型コロナウイルスの影響で試合数が削減された場合に選手との減額に関する協議の場を設ける特約条項を入れることを検討している球団も存在するようです※4

 

※4 https://www.sanspo.com/baseball/news/20201127/gol20112705010002-n1.html


この点に関し、球団と選手との間の年俸に関する契約については、2018年2月15日に公表された「人材と競争政策に関する検討会 報告書」(以下「本報告書」といいます)により、優越的地位にある球団が課す制度・義務等が選手に対して不当に不利益を与える場合には、独占禁止法上問題となり得る場合があることが明らかとなりました。

 

本稿では、プロ野球における年俸交渉に関する制度について解説すると共に、本報告書を踏まえて球団側が留意すべき独占禁止法上の問題点、そして、年俸交渉において選手代理人が果たすべき役割について概観します。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

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