不動産投資の「闇」を知り、回避策を練っておく
本記事では、投資物件の販売業者が過去に行ってきた、「合法ではあっても購入者に対するごまかし」や「限りなくクロに近い、法律すれすれのグレー部分」とともに、「完全な違法と思われる事象」をまとめてみたいと思います。
不動産投資における物件販売業者は、素人が1人で巨悪に立ち向かう類いのものではありません。安全でまっとうな業者にたどり着けるよう、多くの人の意見を聞きながら、自分の力で探していくしか方法はありません。そこで、過去に行われた不動産投資の「闇」を知り、回避することは、教訓を活かす意味でも意義のあることです。
では、「危なっかしい業者のやり口」を紹介していきましょう。
投資初心者も注目!「危険な業者」の7つのやり口
やり口① 書類を偽装して、高額の融資を獲得する
融資が高額になれば、物件価格の100%が融資されることは通常ありません。8000万円の物件について、普通のサラリーマンが全額融資で購入することは通常はできません。最高の融資額でも、8000万円の80%、6400万円程度の融資額であるべきです。
ところが、「頭金ゼロ」を売り物にする、ある不動産販売業者は、銀行に対してその物件の価格を1億円と偽り、8000万円の融資を引き出していました。これは銀行側の担当者・支店長もある程度知っていて、不動産会社と結託して融資の数字合わせを行っていた可能性が高いと思われます。それは融資先が確保できない金余りの時期に、行員に対して大きなノルマを課していた結果でもあります。
このようなことがたび重なれば、どこかで融資が焦げ付きます。不動産投資に前向きと評判だった銀行も過剰融資と非難され、その矛先は不動産の販売業者にも及びます。物件の販売ノルマの厳しさに怯えながら、やってはいけないやり方に手を染めてしまったのです。
やり口② 高額融資の審査を通すために通帳を偽装する
銀行が高額融資を得るための審査項目に、手持ち資金保有額の確認があります。その際に、わざわざお金があるように見せかけるのです。手法としては、その投資家の通帳へ一時的な金額を加える方法があります。A通帳でコピーしたあと、B通帳に資金を移してコピーし、通帳コピーを銀行に示すことで合計金額を多く見せたりする方法もあります。
また、不動産の販売業者みずから一時的に、その投資家の通帳にお金を振り込んで、手持ち資金を多く見せて審査を通そうとする手法もありました。
こうした手法を使ってまで、販売業者は投資不動産を買わせたいわけです。投資家がしっかりと返済できれば銀行もその分、潤いますが、すべてがうまくいくとは限りません。返済が滞って、投資家がその投資不動産を手放さなければいけないことになれば、将来の財産形成は水の泡で、銀行は審査の甘さが厳しく指摘されることになります。
やり口③ 「1物件・1法人・1銀行」による融資の獲得
投資不動産の購入者が複数の法人をつくり、1法人に対して1物件を割り当て、借りる銀行も1物件・1法人について1つに絞るようにします。すると、最終的には一人が多額の融資を受けていても、銀行側としては見抜きにくい状況が発生します。
これは不動産の販売業者の不正ではなく、不動産投資家である購入者の不正ですが、結局その〝入れ知恵〟をしているのは販売業者であるケースも多々あります。少しでも多くの物件を販売するために「法人をいくつかつくって、法人ごとに不動産を購入すると融資が下りやすい」などと指南しているのです。