マンションも、新築では利益を出せない
新築マンションの販売会社はもともと借入れ過多で、実質的な利益が簡単には確保できない状況が続いています。そのため、さまざまな営業トークによって話をすり替え、少しでも物件を多く販売しようとします。
しかし、実際にはそのとおりにはならず、購入者は所有していること自体が苦しくなっていきます。たとえば、35歳の人が長期のローンを組み、70歳を超えてやっと利益をキャッシュで受け取れるシステムは、現役時代はもちろん、老後の何の手助けにもなりません。
ここでは、新築マンションを投資用に購入するケースで、どのような営業トークによるすり替えが行われているかを見てみましょう。
話のすり替えによる「営業トーク」3つの例
①「頭金ゼロで購入でき、ローン終了後の収入はすべて利益になります!」
販売時に受け取る計算シート(ローン残高と投資収益の計画表)によれば、「500円」といったごくわずかな収入を毎月受け取れるようになっていればまだ良いほうです。最初から何年もマイナスのキャッシュフローが続く案件も多く見受けられます。
そして、新築マンションについては、購入後、実際には次のような事態が発生し、赤字幅はどんどん拡大していきます。
●新築プレミアムで設定した賃料は、最初の入居者が引っ越し、次の入居者のときには10%ほどダウンする
●数字を合わせるために、800円程度に低く設定された修繕積立金は、大規模改修前に、これまでの積立金の低さを取り戻すため5000円以上となる
●サブリースが組まれていれば、5年後、10年後には、見直しまたは打ち切りされる可能性が高い
●購入時の不動産取得税や毎年の固定資産税の支払いは計算外なので、別に準備が必要である
●35年を超える長期のローンを利用するのが主流となるだろうが、金利はもともと自宅用として購入するより高く、長期にわたって上昇しないはずがない
このように新築マンションの不動産投資は、ローンの完済までは不動産投資で収益を生み出せないばかりか、持ち出しが増える要素がいっぱいあるのです。
②「団体信用生命保険があるので、保険の代わりになります!」
中古物件も同様ですが、新築マンションの場合も、確かに死亡保障の部分については保険の代用になります。しかし、その団体信用保険は、入院費用や収入を保証する保険ではありません。そのうえ生活が苦しくなっても、安い保険に切り替えるようなことはできません。
不動産投資で収益を出せないばかりか、その投資に紐づいている団体信用保険が大きな足かせになってしまうのです。
③「赤字でもサラリーと合算して確定申告することで還付金が受け取れます!」
サラリーマンの本業による収入を会社勤めの月給とすれば、副収入は本業を補填(ほてん)するために得る収入です。つまり副収入は、本業がたとえば会社の倒産や自分自身のリストラなどでうまくいかなくなったときにも、助けとなってくれることを目的とするべきです。
その点、「還付金(かんぷきん)が受け取れます」といった物言いは、いつまでも本業に頼っているだけのこと。この考えは、本業がうまくいかなくなったときには、さらに自分の足を引っ張る結果になります。
しかも、確定申告では、購入したときこそは購入時の事務手数料を経費として計上できるため、還付金の額も大きくなりますが、年を追うごとに減少していきます。この点を無視しているのです。副業についても節税は必要ですが、副業でも黒字を出し、納税して、さらに将来の本業の不確定要素に対して備える。これが副業の本来の姿ではないでしょうか。
結局、新築マンションに投資した多くの人を見てきた私の教訓は、コレです。
★ㅡ新築マンションは、投資物件としては不適格である。