今の日本で、新築物件が高収益を生まないのは必然
よほどの好条件が重ならない限り、今後、新築アパートへの投資で利益を出し続けることは困難でしょう。なぜなら、新築アパートで収益を得るためには大きな壁があるからです。
特に、次の4つの壁をすべて乗り越えることは、ほとんどのケースで不可能です。
人口減少・サブリース・大規模修繕・減価償却の壁
①ジワジワ迫る「人口減少」の壁
いま日本の人口は減少傾向にあると言われています。東京においても、オリンピック・パラリンピック後は減少予測が出されています。その減少傾向にある日本で、まだ東京都心部であれば今後の単身者割合の増加によってワンルームマンションは生き残っていくことができるでしょう。ところが、地方でのアパート経営となると、不動産投資家に家賃を低く設定できる競争力がない限り、不動産投資は成り立ちません。
その状況がわかっているはずなのに、頭金なしの100%ローンを勧める不動産会社もあります。そこでも低い家賃設定しかできないとなると、それではローン返済額を補うことができません。不動産会社がどう言葉巧みにそそのかしたとしても、計画そのものが不可能なのです。
土地をすでに保有していて、しかもある程度は現金を投入できれば、計画が成り立つかもしれません。しかし、それができる投資家は本当に限られています。
②5年後に立ちはだかる「サブリース」の壁
サブリース契約とは、「不動産投資家が所有する物件を不動産会社が借り上げて、その不動産会社が賃貸市場に物件を出して転貸する契約」と考えてください。そのサブリース契約は、よくわかっていない投資家にとっては永久に家賃を保証するイメージがあります。また、サブリース会社(不動産販売会社がサブリース部門を持っているケースも多い)はそのイメージからくる〝根拠のない安全性〟を売りにして販売しようとします。
しかし、サブリース契約書にも書いてあるとおり、数年後、そのサブリース契約の家賃は見直されます。その見直しの時期は契約によって異なりますが、5年から10年くらいのうちに見直されると考えてよいでしょう。
家賃の見直しならまだマシで、サブリース契約を不動産会社の側から打ち切りたいといって、問題になった例が過去にたくさん報道されました。裁判になった例もあるようですが、サブリース会社が作成する契約書には概ね「予期せぬ状況になったら、契約そのものを見直す」といった条項が入っているため、揉めたとしても投資家に勝ち目はあまりありません。
仮に80%空室物件となると、ほとんどが空室といった状態です。その状態で、サブリースを打ち切られたら、どういう結果になるでしょうか。投資がまったく成り立たないのは明白です。きっと、周囲の他人から、「そもそも、そんな空室となるような場所に新しく建てたり、賃貸に回したりするのが間違いだよ」と言われかねません。地方に行くと、それに近い新築物件もけっこうあるのです。