「破壊星人」になる認知症父…口答えが引き金は分かっていても

「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

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電圧器は電池の残量を計る機械なのだが

破壊星人じーじ

 

わが家は約25年前に増築をしている。その際に、電気の配線をしたのが、じーじらしい(4半世紀も前のことなので記憶は定かではないが、当時、誇らしげに言っていた記憶がある)。

 

それが原因かどうかははっきりしないが、じーじのお部屋を1階に移動し、新しくエアコンを設置してからは、契約のアンペア容量を大きくしても、わが家はじーじの部屋のエアコンとドライヤーもしくは、電子レンジのスイッチを入れると2~3秒後に必ずブレーカーが落ちる。

 

何度か東京電力に来てもらい調べてもらったが、同じところから分配しているのが原因なので、配線をやり直す工事をしなければならないらしい。そんな工事は面倒くさいので、なんの手立ても打っていないものだから、たびたびブレーカーが落ちる。

 

わが家はじーじの部屋のエアコンとドライヤーもしくは、電子レンジのスイッチを入れると2~3秒後に必ずブレーカーが落ちるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
わが家はじーじの部屋のエアコンとドライヤーもしくは、電子レンジのスイッチを入れると2~3秒後に必ずブレーカーが落ちるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ある朝、ブレーカーが落ちた瞬間「東京電力に電話しろ」と言いながら、どこからひっぱりだしてきたのか、電圧器(本人曰く)を手に、あちらこちらのコンセントにその電圧器やらを刺しまくる。こればっかりは、危険なので「じーじ、危ないよ。東京電力に電話するから、ちょっと待っててね」と言うと、「なに、俺をバカにしているのか、俺は電気工事のプロなんだぞ。この家はどこがが漏電しているに違いない、だからその場所を突き止めているだけじゃないか」。

 

こうは、言うものの、じーじが手にしている電圧器とやらは、私には、電池の残量を計る機械にしか見えないのだが……。

 

私に危ないといわれた瞬間、じーじは認知星の破壊星人に変身し、ものすごい速さで、あちらこちらのコンセントを抜きまくる。そして、

 

「これで、わが家の漏電は治った。おい、ブレーカーを上げて、クーラーをつけてみろ」

 

しばらくたってもブレーカーが落ちないのを確認すると「な! だから俺は、電気工事のプロだからな」とうれしそう。いやいや、クーラーのコンセント、ひっこ抜いてるから……とも言えず、この日は済んだが、大事件は翌日に起こるのであった。

医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

埼玉県生まれ。博報堂勤務を経て、埼玉県内の介護事業会社勤務。医療福祉接遇インストラクター、東京都福祉サービス評価推進機構評価者。2001年より成長期の大手介護事業会社において、広告宣伝室室長として、社外向けの広報誌の作成、入居者促進業務に携わる。
2015年、株式会社ケー・アール・プランニング設立。編集プロダクションとして介護・福祉を専門とした雑誌の編集を行う傍ら、接遇マナーインストラクターとして、介護付有料老人ホームやデイサービス等で介護の現場に即した研修を行っている。

著者紹介

連載見つめてひらめく介護のかたち「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

黒川 玲子

海竜社

わけのわからない行動や言葉を発する前に必ず、じーっと一点を見据えていることを発見! その姿は、どこか遠い星と交信しているように見えた。その日以来私は、認知症の周辺症状が現れた時のじーじを 「認知症のスイッチが入っ…

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