電圧器は電池の残量を計る機械なのだが
破壊星人じーじ
わが家は約25年前に増築をしている。その際に、電気の配線をしたのが、じーじらしい(4半世紀も前のことなので記憶は定かではないが、当時、誇らしげに言っていた記憶がある)。
それが原因かどうかははっきりしないが、じーじのお部屋を1階に移動し、新しくエアコンを設置してからは、契約のアンペア容量を大きくしても、わが家はじーじの部屋のエアコンとドライヤーもしくは、電子レンジのスイッチを入れると2~3秒後に必ずブレーカーが落ちる。
何度か東京電力に来てもらい調べてもらったが、同じところから分配しているのが原因なので、配線をやり直す工事をしなければならないらしい。そんな工事は面倒くさいので、なんの手立ても打っていないものだから、たびたびブレーカーが落ちる。
ある朝、ブレーカーが落ちた瞬間「東京電力に電話しろ」と言いながら、どこからひっぱりだしてきたのか、電圧器(本人曰く)を手に、あちらこちらのコンセントにその電圧器やらを刺しまくる。こればっかりは、危険なので「じーじ、危ないよ。東京電力に電話するから、ちょっと待っててね」と言うと、「なに、俺をバカにしているのか、俺は電気工事のプロなんだぞ。この家はどこがが漏電しているに違いない、だからその場所を突き止めているだけじゃないか」。
こうは、言うものの、じーじが手にしている電圧器とやらは、私には、電池の残量を計る機械にしか見えないのだが……。
私に危ないといわれた瞬間、じーじは認知星の破壊星人に変身し、ものすごい速さで、あちらこちらのコンセントを抜きまくる。そして、
「これで、わが家の漏電は治った。おい、ブレーカーを上げて、クーラーをつけてみろ」
しばらくたってもブレーカーが落ちないのを確認すると「な! だから俺は、電気工事のプロだからな」とうれしそう。いやいや、クーラーのコンセント、ひっこ抜いてるから……とも言えず、この日は済んだが、大事件は翌日に起こるのであった。