いつの時代もなくならない相続トラブル。家族や親族の話し合いでなんとかなると思っていませんか? 岡野雄志税理士事務所のもとには、そんな「終活足らず」な方々からの相談が舞い込みます。本記事で紹介するのは「相続税が払えない」事例。※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

実家を離れて暮らす息子が泣きついてきた!

■節税対策のための生前贈与のはずが…

 

皆さまは「たわけもの」という言葉をご存じでしょうか? 漢字で「田分け者」と書きます。封建時代、跡取り以外の子どもにも平等に田を分けると、孫、ひ孫と受け継ぐにつれ面積が狭まって収穫量が減り、家が衰退するという意味が込められているようです。

 

 

封建的な家督相続制度は、昭和22(1947)年の民法改正で廃止されました。現在の民法では、配偶者や長子以外の子どもにも平等に遺産分配されることになっています。それでも、いまだに長男を後継ぎとする考え方が根強く残る地域もあります。

 

今回の事例は、会社勤めのAさん。家業を営んでいるわけではありませんが、そんな長子相続的な考えが強い地域で生まれ育ちました。またAさんの息子さんは、上の娘さんと歳を隔てて生まれた男の子でもあり、つい長男、長男とおだてて育てがちでした。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

その息子さんも就職後、実家を離れて暮らしていましたが、あろうことか株式投資で失敗し多額の損失を抱えてしまいました。泣きつかれたAさんはいろいろ考えた末、相続時精算課税制度を活用し、息子さんに現金を生前贈与することに決めました。

 

「相続時精算課税制度」とは、2,500万円までなら、受贈者(このケースではAさんの息子さん)が贈与税を納めずに贈与を受けられる制度です。

 

ただし、贈与税を払わずに済むといっても、納税を免れられるわけではありません。贈与者が亡くなった際は、贈与時の財産価額と相続財産の価額を合計した金額から相続税額を計算し、一括して相続税として納税しなければいけません。

 

■父親の急逝で相続税が払えなくなった息子

 

不幸なことに、その翌々年、年をまたがずにAさんが亡くなりました。

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