2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの中小企業が苦境にあえいでいます。そんななか金融機関からの融資に頼る中小企業が多いことでしょう。そこで問題となるのが連帯保証。これまでは経営者自身が連帯保証人となるケースが一般的でしたが、それが原因で後継者問題に悩み、廃業に追い込まれるケースが後を絶ちません。創業40年を迎える高橋土木の例をもとに、事業承継における連帯保証の問題を考えていきましょう。※本連載では、企業再生のスペシャリストである坂本利秋氏が、中小企業が経営難を乗り切る方法を解説していきます。

 

政策公庫、商工中金などの政府系金融機関の令和元年4月から9月での新規融資における経営者保証に依存しない(連帯保証が不要)割合は、金額割合では55%、件数割合でも40%です。中小企業庁のHPに掲載されています。

 

この動きは何も政府系金融機関に限ったものではなく、民間金融機関にも見られます。

 

同じく令和元年4月から9月の民間金融機関の新規融資における経営者保証に依存しない(連帯保証が不要)割合は、件数割合で21%です。政府系と同じく、金額割合でみればもっと大きな割合になると思います。こちらは金融庁のHPに記載されています。

 

なぜ、このような動きがあるのでしょうか。それは、平成26年1月に施行された【経営者保証に関するガイドライン】によるものです。

 

平成30年4月27日付け政府広報オンラインでは、【経営者保証に関するガイドライン】の目的、設置背景が以下のように記されています。

 

このガイドラインは、金融庁と中小企業庁の後押しで、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」の検討の成果としてまとめられたもので、融資の際に経営者保証が不要な条件を明らかにするとともに、早期に事業再生や廃業を決断した場合は経営者に一定の生活費を残し「華美でない自宅」に住み続けられる可能性などを示したものです。新規融資はもとより既契約の融資についても、融資条件の見直しや借り換えなどの際に考慮されることになります。

「ガイドライン」に法的な拘束力はありませんが、「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」と位置付けられており、それら関係者が自発的に尊重し、遵守することが期待されています。

 

このように中小企業経営者にとっては効果的なガイドラインではありますが、適用条件が定められています。

 

【適用条件】
・法人と経営者の関係の明確な区分・分離されていること
・財務基盤の強化
・経営の透明性

 

明確な区分・分離とは分かりにくいですが、会社と経営者間のお金のやり取りを納得性のある形にしておく。第3者に説明した際に、理解が得られるレベルにしておくという意味です。

 

財務基盤の強化も曖昧ですが、数値目標は定めておりません。素直に解釈すると黒字で、資産超過の状態は最低限求められると思われます。

 

経営の透明性は、正しい会計処理を行い、実績及び見通しに関しても速やかに納得性のあるデータを開示できる環境の整備を求めているものと解釈します。

 

このように新規融資に際し、経営者保証に関するガイドラインは、すべての中小企業経営者が知っておくべき、新常識です。ご利用に関しては、各金融機関へ相談ください。

 

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