「経営者自身が連帯保証人に」は過去の話
高橋博(仮名)70歳は、基礎工事を主とする土木会社を経営している。10年の経験を積んだのち、3人の仲間と会社を立ち上げたのは40年前である。
すぐにバブル期が到来し社員は一気に20名まで増えた。バブル崩壊から建設不況となったが、丁寧な工事と工期遵守が評価され仕事は堅調であった。建設不況が終わると、社員の高齢化と職人不足に悩まされたが、毎年1名ずつ採用した新卒社員が辞めずにいてくれること、長男が10年前に入社してくれたこともあり、この危機も乗り越えることができた。
長男はIT会社出身でありシステムに詳しい。土木系のCAD、業界特化の原価管理システム、会計システムの連携もおこなったことから、管理が強化された。昔はどんぶり勘定で良かったけれど、価格にシビアになった現在では、必然の進化なのだろう。あまり褒められた話ではないが、創業当初は個人と会社のお金の分類ができていなかったが、今はシステムも導入され、税理士の指導もありしっかりやっているほうであろう。
そう考えていたある日、古いショベルカーが壊れた。修理を繰り返し、だましだまし使っていたものの、とうとう限界が来たようである。修理パーツはもうないし、そもそも500万円の修理見積では話にならない。新車のショベルカーを買うべく、政策公庫に2,000万円融資を申し込んだ。
土木工事の工期への影響を考えてくれたのだろう、2週間で決裁が下りた。会社の応接室で、借入契約書にはんこを押す。この40年間で何回押しただろうか、慣れたものである。もちろん、連帯保証人欄にも個人のはんこを押す。
よし、頑張って2,000万円を回収するぞ。
土木工事会社ではよく見られる光景ですが、筆者にはこのシーンに違和感があります。
それは、社長による連帯保証です。
確かに以前は中小企業の借入では、代表取締役の連帯保証が当たり前でした。しかし、現在は、これは当たり前の行為ではありません。
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