4月15日ごろから申請開始予定と公表された「事業再構築補助金」。コロナ禍で苦境に立たされている中小企業にとって復活の一手となる補助金ですが、どのように新しい分野で事業再構築を行うか、頭を悩ませるところです。そのようななか、企業再生のスペシャリストである坂本利秋氏は「空室で悩む事業者であれば、スポーツジムは一考の余地あり」と言います。スポーツジムにどのような可能性があるのでしょうか。見ていきましょう。

価格破壊が進む…スポーツジム業界

先日、成功しているスポーツジムを見学してきました。支援先が「事業再構築補助金」を利用してスポーツジムへの進出を検討しているためです。

 

スポーツジムと言えば、20年程前は総合型が大半で、月額会費は10,000円程度と、今となってはずいぶん高い印象です。マシンの他、プール、ダンススタジオ、サウナ&ジャグジーがある大掛かりな施設でした。

 

筆者も入会当初こそプール、サウナ&ジャグジーを利用していましたが、やがてマシンとシャワーしか利用しなくなりました。会費が高いなと思いつつ、会員を継続していた記憶があります。

 

その後、7~8年前からエニタイムフィットネスに代表される24時間のマシン特化型のジムが増加。総合型に設備では劣るものの、24時間営業の利便性、7,000円程度の低価格が魅力で、筆者もこの時期に24時間マシン特化型のジムへ変更しました。価格的な魅力もさることながら、ジムの営業時間に自分が合わせるのでなく、自分の都合で行けるのが気に入っています。

 

そしてとうとう、3,000円ジムの登場です。価格面ではエニタイムフィットネスも太刀打ちできず、利用回数によっては公共のジム並みです。

 

近年、スポーツジムの多様化が進んでいる(※画像はイメージです/PIXTA)
近年、スポーツジムの多様化が進んでいる(※画像はイメージです/PIXTA)

会費3,000円…激安スポーツジム、衝撃の理由

見学したのはそんな首都圏の郊外にある某ジム。最寄駅からは徒歩20分以上かかる場所です。エニタイムフィットネスのようにアクセスの良い場所でないのも、低価格が実現できる理由の一つでしょう。

 

日曜日の午前11時に入口でスタッフさんに見学希望を伝えジムに入れていただきました。まず驚いたのが広さ。筆者が利用したジムの中で最大です。広さだけでなく、明るくて清潔なところも好印象です。店内はトレッドミル(ランニングマシン)等の有酸素、マシン、フリーウエイトの3つに区切られています。20台近くものトレッドミルが置いてあるのですが、よく見るとどれもテレビ・インターネットが接続できないタイプです。

 

これも低価格が実現できる理由の一つでしょう。この装備差だけで1台当たり数十万円の価格差になるはずです。Wi-Fiを整備し、スマホで好きな動画を見てもらえば十分ですから。高性能型のトレッドミルはコンピュータトラブルが多いはずですから、メンテナンスの面でも優位です。

 

続いてマシンエリア。驚いたのはマシンの数です。同じ箇所を鍛えるマシンでも3台程度設置されており、順番を待つ人はいません。一部のマシンには画面が備え付けられ、正しいマシン利用方法の動画が繰り返し流れています。そのおかげでしょうか、初心者と思われる人も正しいフォームで利用していたのが印象的です。これならばスタッフさんの時間を割かれることはありません。

 

いよいよフリーウエイトルームです。馴染みのあるブランドも並んでいましたが、利用したことがないプロアスリート向けの器具も充実しテンションが上がります。器具の数も、これまで見た中で最大でした。

 

このようにトレーニングエリアは最高の環境と言い切れます。筆者がこれまで見た中でダントツの1位です。これが3,000円とは……。

 

トレーニングエリア以外はどうなっているのでしょうか。シャワー室はありません。利用者はトレーニングウエア姿のまま車で来て、そのまま車で帰ります。筆者も24時間ジムの会員ですが、ジムのシャワーはほとんど使わなくなりました。家で浴びれば済むので、シャワー室がなくとも不便は感じません。

 

一方でシャワー室を作ると余計なコストがかかります。水回り工事、清掃業務による人件費増、トレーニングスペースの縮小につながります。

 

トレーニングエリア以外の設備は最小限とし、その代わり低価格を実現するのが3,000円ジムの本質のようです。

 

低価格で提供できる最も大きな理由は、独立店であること。大手24時間ジムのFCでは、6,000万円から1億円の初期投資が必要となりますが、独立ブランドでトレーニングエリアの充実だけを優先すれば、その半額程度でできます。

 

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