安易な儲け話に乗っかり、泣きを見る日本人が続出
2020年10月に執筆した、日本人によるベトナムでの不動産投資トラブルの事例を紹介した記事、『ベトナム不動産投資、日本人がやらかした「購入トラブル」の例』の反響が大きかったため、今回も実例をあげ、引き続き注意喚起を行いたいと思います(※プライバシーに配慮し、一部変更している部分があります)。
話が違う!「年利10%で10年運営のはず」と怒るも…
知人からの紹介で会った現地在住の日本人に、リゾート地域のコンドミニアムの購入を勧められる。紹介した知人も購入しているとのことで、「コンドミニアムをホテルとして、年利10%の条件で10年運営する」という保証付きの条件に惹かれ、購入を決意。年2回の支払いで契約した。ところが、購入翌年の支払いはあったものの、2年目以降から支払いが滞ってしまい、交渉するもらちがあかない。
その後の経過と対応
相談を受けた筆者は、最初に購入経緯と契約書を確認しました。すると、購入者本人は「コンドミニアム購入後、ホテルとして運用。賃貸保障あり」との認識だったのですが、実際には「コンドテル契約」でした。コンドテル(Condotel)とは、「ホテル」と「コンドミニアム」を合体させた略語で、部屋を所有するオーナーがホテル運営者に貸し出し、稼働率に応じた一定の利益を得られるしくみのことです。ホテルコンドともいいます。
この契約では、コンドミニアムの使用権は開発会社にあるとされており、運営会社も開発会社の関連会社だと思われます。
相談者に物件を勧めた現地在住の日本人は、開発会社関係のベトナム人ブローカーからの紹介で、販売促進を行っていました。確認時は、ホテルというよりもAirbnb運営でしたが、運営状況が厳しく約束した配当が出せない状態でした。
筆者が契約書の内容を精査したところ、契約書はベトナム語のみで書かれているほか、驚くべきことに、購入者は、販売仲介した日本人ブローカーの通訳者から契約書の内容を聞いただけで契約書を締結していたこともわかりました。ベトナム語で書かれた契約書の内容は、上述したようにコンドテルでの契約締結であり、内容も販売側に有利なものとなっていました。
ちなみにベトナムでは、コンドテルの事業に関して明確な法律はなく、2020年10月現在、合法・非合法が判断できない、いわゆるグレーゾーンの状況にあります。このケースは、法的に対応しても時間と費用だけがかかってしまう、非常にむずかしいものとなっており、いまもなお、回収に向けて対応中です。
継続中の案件であるため、筆者からはいいにくい部分もありますが、ベトナムだけでなく、海外での不動産購入は「日本とは法律も事情も異なる」という点を理解したうえで、なおかつ、実際に投資する前にしっかり現地事情を調べておくというのが、最低限必要なことだと思います。
正直な話、現地在住の日本人のなかにもいい加減な人・悪質な人はたくさんいます。日本人だからといって、頭から信用してかかるのは考えものです。彼らについても「ベトナムで労働ビザ(事業者もしくは社員としての労働許可)を持っているか」「現地での実績はあるか」という点は、最低限の確認事項として調べてください。