「色」と「形」で視覚を刺激し、頭脳を活性化
【視覚】
五感の中で、脳に最も多くの情報を送っているのが「視覚」です。すべての感覚情報の約7割が目から入ってくる情報なのです。集中して視覚を使うことで、子どもの頭は活性化し、理解し、整理記憶をしていきます。まずは「形」と「色」を判断する能力から伸びていきます。
<感覚を身につける三段階>
感覚で捉え、それを言葉で表現することが、3歳以降のポイントです。親は次の三段階を意識しましょう。
■第一段階=「言葉だけ」で伝える。最初は比較しない。
たとえば、子どもが大きなボールを持った時に、タイミング良く「大きい」「大きいねぇ」「大きいボール」と繰り返します。他の大きなものがあったら「大きい」という言葉を伝えます。言葉を繰り返すことで「大きい」という言葉と概念が、子どもに入っていきます。
■第二段階=比較
次は2つのものを比較して言葉を伝えていきます。比較するものは同じ種類のものを使います。
なぜならば、「大きい、小さい」を比較して伝えたいのに、大きい大根と小さいニンジンを比較したらどうでしょう? 子どもは何を比較して良いのか混乱してしまいます。できる限り同じ種類のもので、大きさだけが違うものを比較するのがポイントです。伝える時のイントネーションを、多少オーバーにすることも効果的です。
[比較する視覚の5つの要素]
・大きい―小さい
・長い―短い
・太い―細い
・高い―低い
・暗い―明るい
■第三段階=比較級・最上級
2つのものの比較ができ、言葉に出せるようになったら、対象を3つ、4つと増やして比べていきます。規則正しく並べたら指をさして、「だんだん大きくな~る」「だんだん小さくなる~」と言葉の表現を増やしていきます。
比較級=「これと、これとではどちらが大きい?」
最上級=「一番大きいのはどれですか?」「一番小さいのをママにください」と発展していきます。
どうですか? なかなか深いでしょう? モンテッソーリ教具は「視覚」だけでも、5つの要素ごとに分けられており、本当に深く考えられて作られています。
そうした教具を操作するモンテッソーリ教師は、勉強と準備を怠りません。しかし、専門の教具がなくても、しっかりした視点を親が持てば、ホームメイド・モンテッソーリ教育は可能です。
「折り紙」や「色鉛筆」を使った、視覚の刺激
<色>
視覚の情報で大切なものに「色」があります。モンテッソーリ園では「色板(いろいた)」という専門の教具を使いますが、ご自宅でも同じ活動ができます
■折り紙でできる「色合わせ」のお仕事
折り紙を半分に切り取り、同じ色どうしを合わせる活動
第一段階=3原色(赤・青・黄)
第二段階=11色(赤・青・黄・白・黒・オレンジ・緑・紫・茶・灰・ピンク)
三原色と白・黒を混ぜて作ることができる11色。それぞれの色の名前も定着させる。
第三段階=発展(明暗)
同じ青でも暗い青と、明るい青があることを伝える。
〔発展〕
半分に切った折り紙を複数枚、部屋の中の離れた場所に置く。「これと同じ色のカードを取ってきてください」と、その場で記憶させて、同じ色のカードを取りに行かせる。ゲーム感覚で楽しみながら、ワーキングメモリーを鍛えることができます。
■24色の色鉛筆
様々な色に興味を示すようになり、色の名前が言えるようになってきたら、クレヨンや色鉛筆も12色から24色にバージョンアップしましょう。
大人の中には「色なんか知らなくても、生きていく上で何の支障もありませんよ」という人もいます。しかし、同じ「みどり」でも「きみどり、若くさ色、うぐいす色」などの区別や、使い分けができたほうが、豊かな人生だと思いませんか?