わが子を、賢く、自主性のある人間へと育てるには「子育ての予習」が重要です。親自身があらかじめ成長過程を学んでおくことで、適切な時期に最適な教育を施すことができます。おすすめなのが「モンテッソーリ教育」。GAFA創始者の3人が学んだことでも注目を集めるこの方法ですが、実際どのようなものなのでしょうか? モンテッソーリ教育の認定教師である筆者が解説します。※本連載は、NPO法人横浜子育て勉強会理事長 ・藤崎達宏氏の著書『3~6歳までの実践版 モンテッソーリ教育で自信とやる気を伸ばす!』(三笠書房)より一部を抜粋、再編集したものです。

子育てにも「予習」が必要

皆様は学生時代に、「赤ちゃんが生まれたら、こう育てるんですよ」というような授業を受けたことがありますか? 誰も受けた経験がないと思います。

 

しかし、子どもを授かると、自動的に母親、父親になるわけです。初めての子育ては本当に大変です。わからないことばかり。まさに緊急事態の連続です。

 

しかし、人間の子どもの成長というのは、過去数百年さかのぼっても、ほとんど変化していないのです。「あなたのお子さんは、何歳何ヵ月になると、この成長過程に入るので、こんな行動をとるんですよ!」とあらかじめわかっているのです。

 

まるで、学校の先生が「はい~ここテストに出ますよ」と言ってくれているようなものなのです。ということは、子育てを「予習」しない手はありませんよね。これが、私のおすすめする「子育ての予習」なのです。

 

そして、子育ての予習にぴったりなのがモンテッソーリ教育なのです。モンテッソーリ教育の主軸でもある「敏感期」の表では、「子どもの成長過程が、何歳何ヵ月にはこんな感じになりますよ」と明記されています(『【画像を見る】モンテッソーリ教育における子どもの敏感期』参照)。ですから、親はそれに合わせて準備をするだけで良いのです。

 

ご注意いただきたいのは、「予習」などというと、幼いうちから先取りして知識を詰めこむ「早期教育」のイメージを持ってしまうことですが、実は逆です。

 

子どもの成長に関する「予習」が必要
子どもの成長に関する「予習」が必要(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

親が子どもの成長を「予習」することで、子どもの成長している姿がよく見え、楽しみながらじっくりと、充実した子育てをすることができるのです。いうなれば、その子に適したタイミングで、その子に合った教育をする「適時教育」なのです。

 

「適時」ということは“タイミング”が大切だということです。きちんと予習をしておかないと、いつの間にか、わが子の成長のタイミングを逃してしまうことになります。

 

子どもはどんどん成長します。成長が過ぎ去った後に、「あ~、あの時は、こうしておけば良かったのにね~」といった「復習」や「反省」は、子育てにおいては不要なのです。

GAFA創始者の3人も学んだ…110年以上も続く教育法

それでは、モンテッソーリ教育がどういうものかを知ることから始めましょう。モンテッソーリ教育の創始者、マリア・モンテッソーリは1870年にイタリアで生まれました。日本でいえば明治維新のころです。

 

1907年に子どもが自分で何でもできるような環境を備えた「子どもの家」をつくったのがモンテッソーリ教育の始まりだとすれば、110年以上前ということになります。ずいぶん古い教育法なんだなぁと感じると思います。

 

しかし、今でも変わらず世界中で多くの人から支持されているのはなぜでしょうか?

 

それは、人間の子どもの成長プロセスには数百年経っても変わらない、「普遍性」があるからなのです。そして、世界中で文化や風習に違いがあっても、子どもの成長は変わりません。「人間の成長の普遍的な原理に則った教育法」だからこそ、モンテッソーリ教育は、今も昔も世界中で支持されているのです。

 

それだけでなく、モンテッソーリ教育は今、さらに再注目を浴びているのです。

 

GAFAという言葉があります。現代社会を牽引(けんいん)しているといっても過言ではない企業、GoogleやApple、Facebook、Amazonの頭文字をとったものですが、その中でAppleを除く3社の創始者が幼少時にモンテッソーリ教育を受けて育ったのです。時代の寵児ともいえる彼らが、モンテッソーリ教育を通して何を身につけたのか? そうした経験が、これからの時代を生きる、わが子にどう役に立つのか? 本連載で深く掘り下げていきますので、楽しみに読み進めてください。

「自力で何でもできる子に」モンテッソーリ教育の本質

110年以上前には、イタリアでも日本でも、

 

「子どもは何もできない存在なのだから、親や教師の言われた通りにしていればいいんだ!」

 

「子どもは元気に外で遊んでいればいい、勉強は小学校に入ってからやればいいんだ!」

 

というのが世の中の定説でした。それに対してモンテッソーリは真っ向から違う意見を主張しました。

 

「子どもはすべてのことができるように生まれてくるのです。もし、できないことがあるとすれば、物理的に不可能な環境にあるか、どうすればいいのか、やり方がわからないだけなのです」

 

「環境を整え、やり方さえ教えれば、子どもは何でも自分でできる」。そのことを証明したのが、1907年にイタリアのスラム街にモンテッソーリが設立した「子どもの家」なのです。

 

子どもの家では、机、椅子、棚、トイレ、洗面所に至るまですべてが子どもサイズ。包丁やハサミなどの道具も子どもサイズの本物を整えました。そうした環境に置かれた子どもたちは、生まれ変わったように自ら活き活きと活動を始めたのです。

 

このように、子どもが本来持っている力を信じて、親や教師は「自分一人でできるように手伝う」、これがモンテッソーリ教育の本質なのです。

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3~6歳までの実践版 モンテッソーリ教育で自信とやる気を伸ばす!

3~6歳までの実践版 モンテッソーリ教育で自信とやる気を伸ばす!

藤崎 達宏

三笠書房

わが子を、賢く、自主性のある子どもに育てるには? GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の創業者たちも学んだ、言語力・数字力・協調性・創造力が身につくモンテッソーリ教育。 本書では、自宅で簡単にできる「ホ…

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