12月1日、個人事業主に対する救済策がはじまる
おそらく多くの個人事業主が同じ思いを抱いていると思います。このような個人事業主に対する救済策が2020年12月1日より始まります。「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症 に適用する場合の特則です。
従来、東日本大震災の被災者等に適用されていたガイドラインです。ガイドラインとは指針であり、破産、民事再生のような法的強制力を持ちません。持ちませんが、金融庁のHP、弁護士会のHPにも明記されていることからも、このガイドラインが遵守されると思います。
このガイドラインの適用範囲に、この度新型コロナウイルスの影響者が加わりました。新型コロナウイルスが原因となり収入が減少した個人事業主、給与が減少したもしくは職を失った個人が住宅ローンの返済等で行き詰った場合の救済策です。先ほどの【個人再生における住宅資金特別条項(住宅ローン特則)】と同じく住宅を手放さずに済みます。
このガイドラインの特徴は以下の通りです。
・住宅を手放さずに済む(個人再生の住宅ローン特則適用と同様)
・ブラックリストに載らない。よって新規の借入に影響を与えない。
・無料で手続きができる。
その他、発表されている正式文書には記載されていませんがこの債務整理ガイドラインの説明動画では、債務カットし自宅は残しつつ別途500万円の手元資金を残す事例が紹介されています。個別事情にはよると思いますが、最大で500万円残すことが可能というメッセージであると筆者は解釈しました。
今回は飲食店の事例を上げましたが、新型コロナウイルスで壊滅的な被害を受けている宿泊施設、旅行代理店、エステ等を営む個人事業主にとっては朗報です。
ガイドライン適用のためには、最も借入額の多い金融機関への相談が必要です。万策尽きて、債務カット以外に道が無いと思われたのであれば、一度金融機関を訪問してください。
なお、ガイドラインの詳細については、一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関のHPをご覧ください。従来のガイドラインに加え、新型コロナ特則、その特則のQ&Aが掲載されています。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】