人気ない物件を再生するため必ず物件確認する
購入第1号の物件は福岡のRC造マンションだった。その後、東京、京都でも物件の紹介を受け、現在4棟64戸を所有しているが、いずれも一般に情報が公開される前に売り出しの情報をつかんだ。現在は、いずれの物件もほぼ満室稼働を実現している。
実は海野さんの場合、物件自体は購入前に確認しないという。
「優良物件を対象としているため、物件を現地に見に行くまでに買い付けが他から入ってしまい結局買えなくなりますので、基本的にはノールック買いです。立地や周辺環境はインターネットや電話ヒアリングで調べることができる。現地の土地勘があり、街並みを熟知しているからこそできるのだと思います」
こう話す海野さんは、物件購入可能エリアのすべての都市の地名や土地柄はほとんど把握しているという。また最近は物件を購入していないが、条件に合致した物件が出てきた日に備えて、物件訪問時には必ず街歩きする等、街や人の流れの変化には常に気を配っている。
海野さんほど、購入エリアを絞り込んで街を熟知するのは、かなりハードルが高いかもしれない。裏を返せば、そこまでできないのであれば、いくら買い付けに出遅れたとしても、現地で物件を確認しないで購入するのは危険だろう。そんな海野さんですら、物件購入後に内部構造の不具合により、五月雨式に多額の工事費がかかるようなケースがあった。「こうしたアクシデントは防ぐことは難しいので、ある程度の手元流動性を高めた状態で物件購入を行うことが基本だと思います」と話す。
一方、「300万円の物件でも一応見ますね」と話すのは、渡辺よしゆきさんだ。現在、築年数の古い物件を中心に50戸所有する渡辺さんは競争のない、つまりあまり人気のない物件を対象に購入し再生してきた。そのため、必ず建物を確認してから購入するという。
買い付けを入れてから見に行くという方法も取れなくはない。ある程度付き合いのある元付け(売主側から委託されている不動産会社)ならば、まずは買い付けを入れることを前提に物件を押さえてもらってから現地に見に行き、正式に売主から買付証明書を送ってもらうということもできるからだ。だが、「これが単なる仲介ならば、買い付けで元付けに物件を押さえてもらい、見に行った結果、やっぱりやめた、となったら元付けは二度と取引してくれませんね」と渡辺さんは話す。
永井ゆかり
「家主と地主」編集長
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