特殊物件はその特殊性を活かすアイデアが勝負
このような物件を持つこと自体がリスクだと考える人もいるだろう。しかし、実際問題として、入居者がいつ部屋で亡くなるかを予測することは不可能だ。孤独死するのは高齢者だけとは限らない。最近では中高年者の自宅での急死もよく耳にする。孤独死が発生した場合、家賃を安くして住みたいという人に貸すことで、リカバリーすることはできる。
あとは家主自身が気にするかどうかの問題になるようだ。
特殊な物件——オーナー宅付き賃貸住宅をシェアハウスに転換
収益不動産といっても、さまざまなタイプの建物がある。特に貸し方に頭を悩ませるのは、オーナー宅付きの賃貸住宅である。よくあるのは、最上階のワンフロアがオーナーの自宅で、その下の複数のフロアに賃貸用の住戸があるタイプの建物だ。
有名不動産投資ブロガーとしても活躍する赤井誠さんは、神奈川県横浜市内のオーナー宅付きマンションを購入した。このオーナー宅は5LDK、賃貸住戸は2DK4戸というマンションだった。立地はいいが、ネックになったのはオーナー宅部分。そこで考えついたのが、オーナー宅をシェアハウスとして運営することだった。
さらに、これまでの経験や日ごろの賃貸経営に関するリサーチから、5LDKの間取りを7LDKに変更しても十分に需要はあると判断し、収益性をより高める工夫をしたという。女性専用シェアハウスとしてシェアハウス向けポータルサイトを複数利用して募集したところ、1カ月ほどで7室とも満室になった。
シェアハウスは、すでに1カ所所有していたので、特に抵抗感はなかった。大変だったのは、最初のシェアハウスは運営会社に委託していたが、このマンションのシェアハウス部分は運営会社が他の物件で手一杯だったため任せられず、自分で管理しなくてはいけなかったことだ。
シェアハウスほど管理に気を使う物件はないだろう。共用スペースが多いため入居者同士のトラブルが発生しやすい。ほとんどのトラブルは音とルールの問題だ。「音はその度に、石膏ボードの増し貼りなどで対応してきた結果、音のトラブルはほとんどなくなりました。ルールも徹底されるように逐一注意喚起し、汚した皿をそのままにしておくこともなくなり、共有部はきれいです」と赤井さんは話す。その結果、2DKの賃貸住戸も含めて投資利回り11%を得られたという。
もちろん、オーナー宅付き物件がすべてシェアハウスで運営すればうまくいくわけではないが、この物件の場合は、オーナー宅が付いている物件として安く購入できたことから、シェアハウスの家賃も割安に設定できたことが大きかったようだ。
特殊な物件は、それだけで差別化を図ることもできるが、その特殊性を、どのように生かし活用していくかが重要になってくる。
永井ゆかり
「家主と地主」編集長
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