相続というのは、プラスの財産だけを引き継ぐのではありません。被相続人の財産状態「すべて」を相続するのですから、マイナスの財産も相続することになります。 ※本記事は、青山東京法律事務所の代表弁護士・植田統氏の書籍 『きれいに死ぬための相続の話をしよう 残される家族が困らないために必要な準備』(KADOKAWA)より一部を抜粋したものです。

家庭も仕事も順風満帆だったあの頃

■ 負債も相続する恐怖

 

鈴木家は、男ばかりの4人兄弟でした。上の2人の兄は東京の大学に送り出してもらえました。その割を食ったのが、三男の三郎さんでした。大学には行けず、高校を卒業すると英樹さんの農作業の手伝いをさせられることになりました【鈴木家の家系図】

 

 

一番下の四男の四郎さんも同じです。父の英樹さんには、四郎さんを大学に送り出すお金はなかったので、学業成績が優秀だった四郎さんも、高校卒業と共に働くことになりました。農業は三郎さんが継いでしまっていたので、四郎さんは自分を雇ってくれるところを探すことになりました。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

田舎では仕事は見つからず、四郎さんは横浜の音響機器メーカーの工場で働き始めます。アンプやスピーカーを組み立てる仕事です。四郎さんは頭がよかったし、手先も器用でしたので、すぐに仕事で頭角を現しました。そして、上司から認められるようになります。

 

 

30歳になるころには、現場のチームリーダーとなり、給料も順調に上がっていきました。プライベートでも、同じ会社で働いていた明子さんと結婚し、子供も1人生まれ、進一郎と名付けました。

 

30代後半には、横浜の郊外に小さな一戸建ても購入しました。45歳になるころには、課長の地位にも昇進しました。このころまで、四郎さんの人生は順調だったのです。

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きれいに死ぬための相続の話をしよう 残される家族が困らないために必要な準備

きれいに死ぬための相続の話をしよう 残される家族が困らないために必要な準備

植田 統

KADOKAWA

家族の本当のリスクは、「死後」にあった。 「兄弟が少ないから相続は簡単」は大間違い!相続税増税も待ったなし!口約束だけでは絶対に円満に終わらない、弁護士が見た実際の「争続事情」。 知らないと確実に損をする、相続…

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