入浴は原則週2回、1人で入浴する「個浴」が主流
リアルに疑似体験─老人ホームの24 時間
入居者や家族は、老人ホームの日常をぜひ理解してほしい。これから書くことが実態であり、これが真実です。ここでは、介護付き有料老人ホームの一日を、時間軸で説明していきたいと思います。提供されるサービスの手厚さと利用料金は、比例しています。料金によっては、ここで記載されていることをしてもらえないホーム、逆に、さらに手厚くしてもらえるホームがあるということに、留意してください。
入浴は原則週2回
入浴は介護保険法で定められている回数になります。
一昔前は、大浴場で複数の入居者、複数の介護職員とで、ワイワイガヤガヤ入浴したものですが、最近は「個浴」と呼ばれる小さな家庭用のお風呂で、一人で入浴するホームが多いようです。
プライバシーの保持という観点では素晴らしいことだと思いますが、個浴は密室になり職員とマンツーマンになるため、職員による虐待やいじめの温床になるケースも多くなります。最近の老人ホームでの事件、事故を見ても、夜間帯や入浴中など、比較的他の職員の目が少ないところ、時間帯で起きています。
老人ホームの入浴は、昼間です
よくよく考えると、不思議なことなのですが、老人ホームの入浴は、普通、昼間に行なわれます。私もそうですが、多くの皆さんは、日常生活において休日以外で入浴を昼間にするというケースは稀ではないでしょうか。もちろん、温泉旅行などに行った場合などは、昼間から入浴ということはあると思いますが……。
今まで夜に入浴していた場合、老人ホームに入居した瞬間に、昼間に入浴することになります。ちょっとしたリゾート気分、毎日が日曜日ということを実感させられます。さらに、前記のように、老人ホームの入浴は原則週2回です。3回までは無料、4回目以降からは有料で入浴を支援するといったホームもあります。
ここでよく議論されることは、「毎日入浴したい」「自宅にいる時は、毎日入浴していた」という入居者が少なからずいることです。私の働いていたホームでも、毎日夜に入浴していた入居者が数名いました。この入居者の方々は、完全自立の高齢者で、入浴後の清掃もご自身で行なっていたほどです。もちろん、特別な料金は1円たりとも取っていませんでした。職員は入浴前に浴室内を点検し、入浴終了時に入浴者は、必ず職員に対し入浴が終わったことを連絡することがルールになっていました。