新人職員は顔と名前が一致するまで時間がかかる配膳
配膳に時間がかかる理由とは?
新人職員の場合、顔と名前が一致するまでは、食事の配膳業務には異様に時間がかかります。逆に、ベテラン職員の場合、Aさんはいつも何時ごろに食堂に来るということも頭に入っているので、常に合理的に配膳業務を行なうことができます。
私も駆け出しの介護職員の頃は、食堂で先輩職員から「この食事は、窓側に座っている赤いセーターを着ているおばあちゃんに」とか「この食事は、3列目の右から5人目の頭にニット帽をかぶっているおじいちゃんに」とか「配膳したら『梅干しはこれからお持ちします』と一言言わないと大騒ぎになるから」などと指示を受けて、配膳をしたものです。慣れるまでの間は、必ず、食事を入居者の前に置くときに、「Aさん、食事をお持ちしました」と声掛けをしたものです。目の前の人がAさんであるということを本人に確認するためでした。
これは、あからさまに「Aさんですね」という声掛けよりも、一連の流れの中でAさんであるということを確認する行為のほうがスムーズに業務が進むからです。ちなみに、認知症などで自分の想いや考えを上手く表現できない人は別ですが、多くの入居者の場合、自分の食事はわかるものです。いつも食べている食事と違うと感知し、いつもの食事を要求してきます。これも私が駆け出しの介護職員だった頃の話ですが、私が配膳したBさんの食事にマーガリンがありませんでした。いつもはあるマーガリンです。Bさんは少し思案した後、「マーガリンがない」「マーガリンがない」と言って、いつまでも食事を摂ろうとしなかったことを思い出します。
さらに、老人ホームの食事の場合、全入居者に対し、毎回(1)食事量や水分摂取量の確認、(2)食後の服薬の確認を職員が行ないます。そして、この個人情報は看護師に伝達され、必要があれば看護師から指示が新たに入ります。
少し汚い話になりますが、老人ホームの看護師の主な任務は健康管理です。病院と違い医師が常駐していないため、積極的な治療に関わるというよりも、平時の健康管理が重要な業務になります。そして、健康管理は入るものと出るものとの管理が中心になります。
つまり、食事や水分の管理と排泄物の管理を通して健康状態を把握していくということになるのです。老人ホームに行って耳を澄まして看護師の話を聞いていると、「Cさんは便が5日間出ていない」とか「Dさんのインは1000だけどアウトは500しかない」などとよく言っています。
これは、水分が1000㏄入っているのに、出てくる尿が500㏄しかないということです。ちなみに、多くのホームでは、便をKOT(コート又はK)、尿をHR(ハルン又はH)などと呼んでいます。
小嶋 勝利
株式会社ASFONTRUSTNETWORK常務取締役
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