朝食後の朝の「申し送り」の重要性
リアルに疑似体験─老人ホームの24 時間
入居者や家族は、老人ホームの日常をぜひ理解してほしい。これから書くことが実態であり、これが真実です。ここでは、介護付き有料老人ホームの一日を、時間軸で説明していきたいと思います。提供されるサービスの手厚さと利用料金は、比例しています。料金によっては、ここで記載されていることをしてもらえないホーム、逆に、さらに手厚くしてもらえるホームがあるということに、留意してください。
朝食後の、大切な業務。それは朝の申し送り
食事が終わると、10時のお茶の時間までの間、自由時間です。多くの入居者は、三々五々自室へ戻り、テレビを見たり、新聞を読んだりで過ごします。中には、職員を捕まえて雑談をする人や、ホーム長に朝の挨拶をするために事務所に来る人もいます。介護が必要な入居者には、この間、職員により口腔ケアや排泄ケアなどの介護支援が入ります。
さらに、多くの老人ホームでは、朝の9時前後に「申し送り」が実施されます。夜勤のリーダーから日勤帯の職員に対し、夜勤時の様子や対応内容が申し送られます。つまり、朝食が終わり、入居者が一息ついている時間を見計らって、職員間の業務連絡をする時間が設定されているのです。ちなみに、朝の申し送りは、ホーム長、生活相談員、看護師、事務担当などフルメンバーで朝礼のような形式で行なわれるケースが多いようです。
夜勤者から、入居者ひとり一人の夜勤時の様子や出来事を、日勤帯に申し送ります。特に、昨日の日勤帯から指示があった対応については、特に細かく申し送られます。Aさんは、発熱をしているので夜勤帯は3時間おきに体温測定37度以上の場合は、3点クーリングで対応を、38度以上になった場合は、解熱剤の頓服薬を服用させなさい、という具合です。朝の申し送り時に、Aさんに対し受けていた夜間の指示に対する結果を報告すると、看護師から改めて日勤帯での指示が入るわけです。さらに、生活相談員からは、本日ホームに来られる家族の人数、時間、目的などが報告され、注意事項などの確認があります。
最後にホーム長から、事務連絡や全社的な業務指示、たとえば、「健康診断がある」「賞与支給にあたり、個人面談が始まる」などが伝達され申し送りは終了します。ちなみに、この9時から9時30分ぐらいまでの申し送り時間は、申し送りに参加していない夜勤者と早番の職員とで全入居者の対応をしなければなりません。
10時からは、お茶の時間です
多くのホームでは、午前10時からは「お茶の時間」が始まります。ホームが何も手を打たないでいると、始終居室に閉じこもり、ベッドで寝ているだけの入居者が多い老人ホームの特殊事情から編み出された、苦肉の策です。