節税という”良薬”も度が過ぎれば”劇薬”になりかねない
また、事業年度末の12月になって、
「予想以上に利益が多く出て、税金の負担が重くなりそう…」
といった際に、「少額減価償却資産(30万円未満)の一括償却」を活用する手があります。減価償却といって、通常、10万円以上のパソコン、家電などの備品については、その耐用年数に応じ、一定額ずつ経費化していくことになります。
しかし、個人事業主や中小企業が青色申告を選択した場合、特典として、「少額減価償却資産(30万円未満)の一括償却」が可能となります。つまり、30万円未満の備品であれば、一括で経費にできる(年度内の合計額300万円まで)。年末になってからでも、節税対策を打つことができるというわけです。
とはいえ、”節税”という響きだけにつられるべからず。
「いずれパソコンを新調しようと思っていたから、この際、買い換えよう」
ということならいいと思います。
しかし、”節税ありき”でいらないモノを買うのは本末転倒。ムダなモノを買い、事業の運転資金を減らすことのほうが問題です。
加えて、ローンを組んだりする際にも、「所得をしっかりと得て、納税しているか」が問われます。後ろ盾のない個人事業主にとって、所得はいわば信用力の証でもあるわけです。
税金というと、「なるべく払いたくない」と考える人が多いようですが、”節税ありき”はリスク大。”良薬”も過ぎれば”劇薬”になりかねないのと同様、行き過ぎた節税は、事業にもマイナスに働きかねないのです。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】